7 juillet 2010

『俺の屍を越えてゆけ』

俺の屍を越えてゆけ PS one Books
俺の屍を越えてゆけ PS one Books

岸部一徳が好きだ。
彼のはまり役といえば、『俺の屍を越えてゆけ』の CF であろう。

そのタイトルと相まって、インパクトのある CF だった。

『俺の屍を越えてゆけ』は1999年に発売されたプレイステーション用 RPG。
ゲームデザインと脚本は、『リンダキューブ』と同じく桝田省治である。
となれば、ありきたりな RPG であるはずがない。

ゲームの舞台は平安時代の日本。
鬼たちが京の都を荒らしまわっていた。
時の帝は鬼の頭目である朱点童子討伐のため、根城の大江山に兵を差し向けるものの、朱点童子の前に到達することなく兵は壊滅してしまう。
そんな折、一組の夫婦が朱点童子討伐に向かい、ついに朱点童子と対決を果たした。
しかし二人は朱点童子の前に破れてしまう。
一人残された彼らの子には、2つの呪いがかけられた。
1つは、長くても2年しか生きられないという呪い。
(同時に、常人より異常に早く成長し、早く老化する。)
もう1つは、人間と交わって子を作ることができないという呪いである。
そこへ天界の最高神、大照天昼子が救いの手を差し伸べる。
天界の神々と交わることで子を作り、朱点童子を倒せというのだ。
こうして「打倒・朱点童子」を悲願とした一族の戦いが始まることになる。

呪いのおかげで、プレイヤーキャラクターの一族は子々孫々に至るまで、2年以内に必ず死んでしまう。
一度死んでしまえば、生き返らせることは不可能である。
例えば『ドラクエ』であれば、いくらプレイヤーが間抜けでも、スライムを100万回も倒せば必ず強くなるだろう。
しかし本作では、そういったことは不可能。
レベルが上がりきる前に死ぬか、成長の限界が来て成長が止まってしまう。
ではどうすればよいか。
戦闘に勝利すると、「戦勝点」(一般的な RPG で言うところの経験値)を獲得することができるが、同じ値が「奉納点」としても蓄積される。
この「奉納点」を消費して神々と交わる(交神)ことで、より優れた遺伝子を備えた子供を作る。
優れた遺伝子を備えた子供は、もともとの能力が高いし、レベルアップしたとき能力が伸びやすい。
こうして代を重ねてゆき、より強いキャラクターを生み出すのだ。
ありていに言えば、人間版『ダビスタ』である。

(例:http://img01.kitaguni.tv/usr/ch11566/09_05_02-3.jpg

2年以内に死ぬ、という制約を表現するために、まず作中では「出撃」(討伐に出る)と「交神」は月に1度しかできない。
討伐に出るのは、京の周囲にあるいくつかのダンジョンであり、これも行けるのは月に一か所だけ。
そしてダンジョン内を移動したり、戦闘をしたりしていると時間がどんどん過ぎていく。
戦闘が長引くと、その分経過時間も多くなる仕組みになっているので、無駄な戦闘は避け、戦闘を行う際は最少手で敵を倒すことが求められる。
1か月が経過すると、そのままもう1か月消費して討伐を続けるか、京に帰還するかを選ばなければならない。

ここで重要なのは、各キャラクターにある「健康度」というパラメーターである。
移動時間を節約するためにXボタンを押しながら移動すると走ることができるのだが、走ると体力(HPに同じ)がどんどん減っていく。
体力が減った状態で走ると、健康度が下がっていく。
健康度が下がると、いわゆる HP や攻撃力、防御力もそれに応じて下がってしまう。
健康度が大幅に下がると、京に帰還した際、寿命が残っていても若くして死んでしまうことがある。
また、戦闘が終わったときに敵のダメージで体力が大幅に下がっていると、健康度も下がってしまう。
従って、できる限り体力が満タン近くである状態を保たなければならない。

武器や防具は京で購入するか、敵を倒したときにランダムで手に入れることになる。
お金はアイテム同様、敵を倒したときにランダムで手に入れるか、ダンジョンの宝箱から手に入れるのが主である。
そうして獲得したお金を京の町に投資すると、京の町が段階的に復興してより強力な武器や防具が販売されるようになる。

こうして、戦闘を重ねて奉納点とお金を獲得し、より強力な武器や防具を手に入れつつ、より強力な神と交わって子孫を生み出していくというのがゲームの流れとなる。

ダンジョンの奥に行くほど強い敵がいるわけだが、漫然と移動しているだけでは時間が足らず、1か月のうちに最深部に到達することすら難しい。
したがって、雑魚敵相手であっても、それなりに頭を使いながらプレイする必要がある。
おかげで常に緊張感を保ってプレイでき、飽きづらいのが素晴らしい。

一般の RPG で魔法に相当する「術」はレベルアップで自動で覚えるのではなく、特定の敵がランダムで落とすことのある術書を持ち帰ることで、一族のキャラクターが習得できるようになる。
場合によっては最終ボスを倒す段階でも、覚えたことのない術があるという状況もあり得る。
しかし、大抵は同等の効力のあるアイテムで補うことができるので、必ずしも術を全て覚える必要はない。
ただ、携帯できるアイテム数が最大30個なので、アイテム数の節約のためには術をたくさん覚えている方が有利ではある。

また、攻撃系の術は「重ねがけ」により、一層強力な術として活用できる。
他の RPG と比べると補助系の術の使い勝手がよく、補助系の術をいかに上手く使うかが攻略のポイントでもある。

敵の落とすアイテムの中にはレアアイテムも多くあるほか、ある条件を満たして特定の敵を倒すと交神できるようになる神も存在している。
全ての術、アイテムの収集や神の解放はとても手間がかかるが、一つの作品を遊びつくしたいという人にはよいだろう。
さらにゲームの難易度をプレイヤーが選ぶことができ、難易度を変更することで一層長くプレイすることができる。
出撃中でなければいつでも変更が可能というのも珍しい特徴である。

さすがにプレイステーション用のソフトだけあって、今から見ればグラフィックは貧弱ではあるものの、ゲームシステムの巧妙さがそれを十二分にカバーしている。
残念なのは、アナログスティックに対応しておらず、ダンジョンでの移動操作が少しやりづらいこと。
そして、シンボルエンカウントの当たり判定が広めなこと。
敵に背後から当たろうとしたら敵の脇を通ってしまい、逆に背後を取られたと判定されたり、敵の脇をすり抜けて戦闘を回避しようとしたら戦闘が始まってしまったり、ということが多々あり、イライラさせられることがあった。

『リンダキューブ アゲイン』同様、10年以上前の作品だが、今プレイしても面白い。
ゲームアーカイブスでダウンロードすれば、PS3またはPSPでプレイ可能。
お値段は600円。
『リンダキューブ アゲイン』とセットでおすすめしたい一品である。

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