PC の画面に映像を描く処理を行う GPU。
Windows98の時代は多くのメーカーがあったけど、10年位前に急速に淘汰が進んだ。
特殊なものを除くと、今では市場のシェアはIntel、nVIDIA、AMDの3社が占めている。
Intel はマザーボードのチップセットにGPU機能を内蔵させ、デスクトップ PC で6割強、ノートPC で8割弱のシェアを持っている。
ただし描画性能が低くて高度な処理が必要な3Dゲームには全く向いていないし、HD動画の再生支援機能や高画質化でも立ち遅れていた。
市場シェアの残る部分はnVIDIAとAMDが6:4から7:3くらいで分け合っている。
nVIDIAはPLAYSTATION3のGPU機能、AMDはXbox360やWiiのGPU機能にチップ提供や共同開発という形で関わっていることからも分かるように、高度な映像処理機能を持つGPUの開発で競争をしてきた。
PC向けGPUのブランド名はnVIDIAがGeForce、AMDはRADEON。
PC 用のゲームではほとんどのゲームメーカーがGeForceに最適化して販売していることもあって、「PC でゲームをするならGeForce」が無難な選択だった。
もともとRADEONはATI社の製品だったが、市場で後塵を拝しているうちにATIがCPUメーカーのAMDに買収されてしまい、現在はAMDのATI部門という位置づけになっている。
RADEONも性能では拮抗していたものの、GeForceを引き離すことはできずにいる。
……というのが常識のはずだったんですが。
調べてみると様子がおかしい。
nVIDIAの評判がいつの間にかどんどん悪くなっている。
1.ここ2年ほどの間、nVIDIAは古い世代のGeForceをマイナーチェンジするか、何も変えないまま、型番だけ次世代を装い、あたかも新製品であるかのように売っている。例えるなら、薄型PLAYSTATION3をPLAYSTATION4という名前で売るようなもの。陳腐化の早いGPUの世界で何世代も前の商品が今でもそこそこ使えるのは、素晴らしい製品開発力を持っていたとも言えるけど……。
2.GeForceには同じ製品名なのに仕様の違うものが混在している。1とあいまって、製品ラインナップの機能の違い、優劣が非常に分かりにくい。わざと消費者を混乱させようとしているかのよう。
3.同じ製品名で仕様が違っていても性能が同等ならまだいいが、同じ製品名のまま性能を2/3くらいに下げて安くしたGeForceが2010年2月に出回り始めた(「9600GT128bit地雷」)。
4.Windows7では、デスクトップの描画にDirectX10.1を利用するため、DirectX10.1以上に対応したGPUを使うとレスポンスが向上する。しかしGeForceの多くは2010年4月現在DirectX10対応止まりなので恩恵がない。一方、RADEONは2008年からDirectX10.1に対応済み。
5.Windows7で標準採用されたDirectX11に対応した新製品を、AMDは2009年9月に発売したが、開発に失敗したnVIDIAは2010年4月まで商品化できなかった。AMDの発売した新世代のRADEONは省電力化と演算性能向上が着実に進んでおり、nVIDIAが対抗製品を投入できない間にAMDは順調に量産を進め、廉価品からエンスージアスト向けまでラインナップを充実させていった。
6.半年遅れでようやく発売されたDirectX11対応GeForceだったが、演算性能こそRADEONと拮抗あるいは上回る部分があったものの、開発計画当初にアナウンスされていたほどの性能は出ず期待はずれ。しかもRADEONに比べると、発熱も消費電力も大幅に高い。そして歩留まりが悪いせいで量産できておらず、値下げしづらい。
7.その新製品GeForce GTX480は公称消費電力よりも実消費電力が50Wほど高い。負荷がかかるとマザーボードの規格の許容量を大きく超えるので、マザーボードの故障を招くことがある。
8.売れ筋の価格帯・性能のDirectX11対応GeForceは2010年4月現在、未だ発売されていない。
9.デバイスドライバの安定性ではRADEONよりGeForceの方が上、というのが専らの評価だったが、2010年3月に公開されたドライバでは、最悪の場合製品を焼損させてしまう不具合があった。Windows7ではドライバの動作が不安定とも言われており、必ずしもGeForceのドライバが優れているとは言えなくなった。
……こんな体たらくなので、「今GeForceを買うのは情報弱者」というのが現状の評判らしい。
奢れるものは久しからず、盛者必衰という言葉が頭をよぎる。
日本の自作 PC 市場では、業界大手のユニットコム(パソコン工房、TWOTOP、FAITHの経営会社)がnVIDIA製品の輸入代理店を抱えているのでBTOでもグラフィックカード販売でも相変わらずGeForceがプッシュされてるし、nVIDIAの広告戦略が徹底しているのか、雑誌や商業webサイトでのGeForceびいきは根強いものがある。
だからすぐにAMDとシェアが逆転することはないはず。
財務内容にもダメージはないらしい。
しかし一番売り上げと利益が見込めるローコストなGPU分野では、IntelもAMDも、マザーボード上ではなくCPU自体にGPU機能を統合させていく方向で商品開発を進めているため、GPU専業のnVIDIAは今後入り込む余地がどんどん狭くなっていく。
そのせいかnVIDIAはいつの間にかチップセット市場から撤退して、GPUを映像処理以外に転用するGPGPU技術を推進する戦略をとっているようだが、大口顧客であるスパコンへの製品供給予定はキャンセルされるし、PC以外の携帯電話や携帯ゲーム機でのGPUチップの採用も進んでないしで、明るいニュースが全然ない……。
Rambus社の特許侵害が認定されてるから、和解が成立しないと5月にもnVIDIA採用製品のアメリカへの輸入と販売差し止めを食らうだろうという噂もある(ちなみにAMDは2006年に7500万ドルでRambusとライセンス契約を締結済み)。
どちらかというとRADEONびいきの私だけど、GeForceが負けちゃうとRADEONの価格が下がらないから、nVIDIAには頑張ってもらいたいです。
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