12 octobre 2009

『うみねこのなく頃に散 Episode 5 End of the golden witch 』

記事執筆現在、TV でアニメが放送されている『うみねこのなく頃に』の原作シリーズ最新作が、『うみねこのなく頃に散 Episode 5 End of the golden witch』。

前作『ひぐらしのなく頃に』シリーズは出題編にあたる全4編が『ひぐらしのなく頃に』、解答編にあたる全4編が『ひぐらしのなく頃に解』という題名でリリースされた。
で、『うみねこのなく頃に』シリーズの場合、第1編から第4編までが『うみねこのなく頃に』で、第5編から『うみねこのなく頃に散』となったようだ。
気をつけたいのは、『散』が解答編とは明言されていないこと。
実際、第4編までの作中で作品の一部の謎について種明かしをやっていることもあって、出題編と解答編の区別が明確ではない。
シリーズが後半に入りましたよ、という作り手側からのメッセージ程度に捉えておけばよさそうだ。

で、Episode 5の内容はというと。
Episode 4 では、主人公が荒唐無稽な反論を展開し、出題者(ゲームマスター)の魔女ベアトリーチェをとりあえず行動不能に追い詰めた(しかし事件の真相は未だ判らない)。
そこでゲームマスターが別の魔女に代わり、また別の1986年における六軒島大量殺人事件を構築する。
更に、もう一人の魔女が、自らの代理として新たな人物を六軒島に送り込む。
漂着した遭難者、という名目で。
で、この人物が探偵役となって殺人事件を人間犯人説で論理的に推理し、容疑者を告発する。
しかし、メタ視点から事件の裏事情を見ている主人公やプレイヤーにとっては、探偵の推理は冤罪、あるいは邪推に見える。
どうやら、何者かが容疑者を脅迫して行動を操り、探偵の推理を誘導して犯人に仕立てあげたようなのだ。
どうやったら容疑者の冤罪を晴らすことができるのか、という点を巡って物語は進んでいく。

この探偵役というのが、異常な推理力と行動力を持っていて、推理小説における探偵という存在を明らかに戯画化した存在になっている。
ミステリーを巡る薀蓄が挿入されることもあいまって、『ひぐらしのなく頃に』が論理的に解けるミステリーじゃないと非難されたことへの作者の意趣返しが明け透けに見える。
同時に「ノックスの十戒」を象徴する幻想世界の住人が登場して、この物語が「ノックスの十戒」を守っていることを示唆しているかのような展開も見せる。
(といってもあくまでも作者が解釈した「ノックスの十戒」だが。)
ということは、この物語は論理的に犯人を見出すことができるのだろうか?
今や作中の描写に虚偽が含まれていることは明らかなのだが、どこからどこまでが正しい描写でどこからどこまでが虚偽なのか判然としない。
さっぱりわからん。

一方、Episode 4 で妹を惨殺された怒りはどこへやら、主人公は宿敵であるはずのベアトリーチェを介護しているような状態。
おまけに Episode 5 の最後で唐突に全ての真相に気づく始末。
もちろんその真実が何であるかはプレイヤーに提示されず、含みを持たせたまま Episode 5 は終わる。
「読者への挑戦状」みたいに「ここまでで手がかりは全て記したので、どうぞ推理してみてください」という作者からのメッセージと考えられなくもない。
だが主人公が知っていてプレイヤーには知らされていない情報がないと推理できないという可能性も考えられる。

真相はどうあれ、主人公が真相に気づいてしまった今、どうやってシリーズを続けていくのだろう。
長々と引っ張らずにさっさと種明かしして欲しいのだが、『ひぐらしのなく頃に』みたいにあと3話あるのかな……。

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