5 mai 2009

聖地巡礼 熊野詣 その3

太地町を発って、いよいよ熊野那智大社を目指す。
太地町で小さなオークワを見つけたが、営業していなかった。
和歌山県発祥にして東証にも上場しているスーパーマーケットチェーン、オークワでも潰れるんだなと思ったが、後で調べてみたらオークワブランドを借りてるグループ会社の店舗だった。
思うに勝浦の方のでっかいオークワの方に客が流れちゃったんだろうか。

勝浦を過ぎて、那智駅前にて国道42号線を左折、一路那智の山へと分け入っていく。
電柱広告は、「那智黒」「那智黒」「那智黒」……そればっかり。
大門坂のところの駐車場で車を停めて、徒歩で大門坂を歩いていくのが世界遺産熊野古道を堪能するには正しいのだろうけど、なんかもう疲れたので大社のそばの駐車場に停めることにした。
大社に近づくと道はヘアピンカーブの連続になる。
最後のヘアピンカーブのところが、飛瀧神社の入口……つまり、「那智の滝」の入口だ。


車を滝に一番近い駐車場に入れる。
料金は500円。
だけど、ここに入れたのは失敗だった。
表参道(カーナビだと、那智山郵便局が目印)にできるだけ近い駐車場に入れた方が、後々楽だと思う。

飛瀧神社の鳥居をくぐり、森の中の石畳道を歩いて長い階段を下りていく。

どーんとおわします、かの有名な那智の滝。
これが、飛瀧神社の御神体。
ゆえに、御神体を収める正殿は存在しない。
拝殿(一般に、神社で参拝客が賽銭を投げたり手を合わせたりしてお参りするところ)も存在しない。
社務所と土産物店だけは、しっかりあるけど。
素朴な自然崇拝が那智大社のルーツであることが容易に想像できる。
ちなみにこの滝のさらに上流にいくつも滝があって、修験者の修行場になっているらしいが、一般参拝客は行けない。

で、300円払うと滝の近くの拝所まで行ける。
切符代わりに、小指の半分くらいの大きさのお守りがもらえる。
さらに100円払うと、小皿の分だけ霊水が飲めて延命長寿の効果があるらしいが、本当に効果のエビデンスがあるなら緩和ケア病棟で飲ませてるよな。
霊水は飛沫を浴びるだけにしておいて、御朱印を頂く。
300円。
お、大体相場は500円くらいなのに安いぞ。

帰り道は登り階段。
憂鬱。

しかし、こんなのは序の口であった。
那智大社に行くには、更に階段を登らなくてはならない。
裏参道を登っていくが、石の階段を登っても登ってもたどり着かない。
次第に息が切れてくる。
こりゃ確かに、浄土に行けそうだ……。
熊野古道を歩いてきた古の巡礼者たちも、過酷な道のりの最後の仕上げとなるこの石段を登って脳内麻薬が出てエクスタシーに達したに違いあるまい。
ここは若いうちに訪ねた方がいいです。

やっと那智大社の鳥居に到着。
しかし、ここは一の鳥居であった。
まだまだ石段が続いている……。

那智大社の祭神は、オリジナルの名前がついてたりやたら沢山祀っていたりするけど、基本はイザナミ、イザナギ、スサノオ。
ちなみに飛瀧神社の祭神=那智の滝は、大国主。

石段を更に登って、ようやく二の鳥居に到着。

一の鳥居には「那智山熊野権現」と記されていたが、二の鳥居は「熊野那智大社」。
権現というのは神仏習合に基づく表現で、日本の伝統的な神々というのは、実は如来とか菩薩とかの仏様が姿を変えて現れたものだ、という概念である。
仏教の浄土信仰と熊野の神が結びついて、平安時代に熊野詣が流行したのだ。

今度こそ、那智大社の拝殿に到着。
屋根で職員さんだか業者さんだかがが葉っぱを箒で下ろしている珍しい光景を見ることができた。
正殿は熊野造うんぬんと言われてるけど、ここからじゃよくわからなかったな。
ともあれ、参拝後に御朱印を頂いて、熊野三山をまず一つ征服。
ここでも300円。

神仏混交の明白な例だが、拝殿のすぐ隣に青岸渡寺がある。
熊野三山で唯一、廃仏毀釈を免れたらしい。
本堂は16世紀の建物で、南紀の方では一番古い部類に入るとか。
ついでにここでも御朱印を頂く。

青岸渡寺から那智の滝を臨む。
割と離れていることがわかる。
三重塔も観光・参拝スポットだが、これは青岸渡寺に属している。

青岸渡寺から道を下り、裏道を通って表参道へ出る。
土産物店の店先にあるのは那智黒(飴じゃなくて石の方)か那智黒飴かってところで、特に目を惹くものはない。

参道沿いの那智山郵便局は年季が入ったレトロな建物で、可愛かったので思わず撮影。

参道の階段を降りきり、大きい土産物店があったので土産を物色。
やはり那智黒飴ばかり……買ってもどうせ全部食べる前に飽きるし職場に持っていっても歓迎されるとは思えないので回避。
自分と家族用に、梅ジュースを買った。

なんだかんだで15時を周ってしまっている。
お次は熊野速玉神社だ。
山を駆け下り、新宮市へ向かって走る。
エンジンブレーキが利かないから下り坂でスピードが出すぎでちょっと怖い。

さすがに新宮の市街地に入ると、信号でのゴーストップが多くなってノロノロ運転になる。
熊野速玉大社は国道42号線からわき道を入って、300mほど。
駐車場も無料。
まあ、滝という神社に興味のない人でも楽しめる那智とは違って、速玉大社は神社だけだし。

陽が傾いてきて、写真も逆光だ。
平地に建つ神社なので、階段で上り下りすることなく参拝することができる。
ありがたやありがたや。

熊野速玉大社拝殿。
那智といい、朱色が最近塗ったように綺麗。
世界遺産登録に伴う参拝客増に合わせて改修しているのかな。
こちらの祭神は、熊野速玉大神と、熊野夫須美大神。
イザナミとイザナギということになっているが、もともとはこの近所の神倉神社の土着の神様らしい。
さくっと参拝を済ませて御朱印を頂き、神倉神社を探すが……カーナビには「神倉神社」と出ているし、徒歩観光客向けの看板でも「神倉神社」という看板を途中に見つけたのだけど、狭隘な道だらけな上に神社っぽいものが見あたらなかったので参拝を断念した。
多分、徒歩で岩山に入っていけるような道があるんじゃないかな。
急いで熊野本宮大社を目指すことにする。

新宮市内では国道24号線が渋滞。
ほかに幹線道路がないから、仕方がない。
国道168号線との分岐で右に曲がり、熊野川沿いの峡谷を走っていく。
結構カーブの多い狭い1車線国道だけど、みんな飛ばす飛ばす。
流れを乱さないように、こちらもスピードを出さざるを得ない。
それにしても峡谷の道を数十km走らないと着かないとは……ライトな観光客にはなかなか訪ねるのが難しいところだ。
こんな緑の深いところにでかい神社があるのか?と思っていると、突然目の前が開けて集落があり、観光地然とした綺麗な歩道と車道が現れた。
本宮である。
ホームセンターコーナンの小規模店舗なんてものもあるが……この辺の人口で売上げがまかなえるのだろうか。
周囲は小奇麗だけど、コンビニもない。
時刻は17時半ごろ。
参拝者用駐車場に車を入れる。
参拝は19時まで、とあったので何とか間に合ったようだ。

こんな時間でも、ほかに参拝者がいる。

社殿が小山に建てられているので、また石段を登る羽目に。

本宮大社はいろいろと注意書きがうるさい。
神門から先は撮影禁止とのこと。
実は、社務所に一声かければあっさり撮影許可がもらえるらしいのだが、知らなかったので注意書きを守って撮影しなかった。
神門をくぐろうとしたら、目の前をよたよたと、大きな昆虫Gが横切っていく。
こんな神聖な場所で、不吉な。

本宮の拝殿は大分年季が入った感じ。
那智や速玉とは違い、建物に朱色が存在しない。
おかげで熊野三山の中でも、一番古式ゆかしく風格があるように見える。
祭神は、家津美御子大神……クニトコタチノミコト。
あとは他の二山との共有でイザナミとかスサノオとかに加えて、アマテラスが祀られ、さらに細々とした神様が祀られている。

熊野のシンボル、ヤタガラスの説明板。
最近になって建てられたようだ。

「熊野坐神社」と名乗っていた頃の標。
揮毫は近衛文麿だそうな。

境内にある工事予定・寄付募集の看板によると、社務所は建て替える予定があるらしい。
ここでも御朱印は300円で貰えたが、「お参りはお済ですか」と尋ねられた。
何やかんやとうるさい神社である。
ともあれ、熊野三山征服完了!

本宮に来たからには、大斎原(おおゆのはら)も尋ねなくてはならない。
大斎原というのは、明治時代に本宮大社の社殿が水害で壊滅して現在の場所に移転するまで、本宮大社があった場所。
新聞記事で読んだのだが、なかなかよさげな場所らしい。
現在の大社の入口から、10分くらい歩けば行ける。

国道からも見えていたが、田園風景に突如巨大鳥居が出現する。

芥子粒みたいな人影と比べると、その大きさが判ってもらえるだろうか。
大神神社や出雲大社の鳥居より大きいかもしれない。
真ん中の金色の丸は、菊の紋ではなくヤタガラスの紋章。
これがまた、格好いいんだな。
あの紋章で何かグッズを作ってくれればいいのに。

跡地だけあって、ここにあるのは森と原っぱと砂利道。
でも小奇麗に清掃されている。
静かな、清清しい場所だ。
社殿があったであろう場所に、祠が二基あった。
その反対側に、一遍上人が参詣した折にここで神勅を得たという大きな石碑が建っていた。
大斎原の入口に写真撮影禁止と書いてあったので、写真はない。

獣道を通って熊野川の河原に出てみる。
ひたすら広いが、釣り人らしき人影が一つあるのみで、何もない。
キャンプをしたくなるけど、上流でダムが放水をしたら飲まれるかもしれない。

堤防に上って、大斎原を真横から見るとこんな感じ。
森の向こうが社殿のあったところ。

大斎原と現在の本宮大社の位置関係を撮影してみた。
写真右端の小山の中腹、木がない場所が現在の本宮大社である。
水害で2度と流されることのないように、高台に移したというわけだ。

それにしても、夕食時である。
本宮大社入口付近に戻ってみるが、観光客向けの土産物店は1軒しか開いておらず、飲食店はもう営業していない。
なんてこった。
仕方がないので、地元の雑貨屋兼食料品店でパンを買う。
三重県の製パン業者が作った、見たこともない包装のパンだった。
ちなみに先客は、ライディングジャケットに身を包んだ男性。
いいなあ、ツーリング。
駐車場に戻ってみると、見習いの神職が袴に身を包んだまま軽自動車に乗って去っていった。
着替えないとは……。

国道168号線を北上していくと、十津川村に入る近辺くらいから酷道区間になる。
センターラインは消滅し、とにかくカーブ、カーブ、カーブ。
しまいに離合が難しい狭隘な道になり、やたらと離合スペースが現れ出す。
日が暮れているので、ハイビームでないと先がまったく見えない。
後ろからせっつかれるので、そんな悪路を都市の幹線道路なみのスピードで爆走。
夜中だから明かりで対向車の有無がわかるけど、昼間にこんなスピードで運転していたら間違いなく正面衝突して死ぬ。
おまけにちょくちょく工事中で、片側交互通行区間がある。
しかしその区間以外は基本的に信号もなく、ひたすら走り続ける。
走っていて、なんだかラリーのレースゲームでもプレイしているような気分になった。
もちろん、実際はゲームではないから、コースアウトしたら峡谷に落ちて死ぬ。
道の駅で休憩したかったけど、建物の明かりが消えてて入ろうという気にならなかった。
道の駅って、駐車場とトイレが24時間使えたらそれでいいのか?
まあ、それだけ利用客が少ないってことなんだろうけど。
おかげで、新宮から2時間もほぼノンストップで狭い道を爆走することになった。
時々最近整備されたと思われる走りやすいバイパストンネルが出現するのだが、そういうトンネルに限って出口で急カーブになっている。
調子に乗ってスピードを出しすぎると意に反して往生を遂げてしまうことになる。
ともあれ、すれ違いで困るってことがほとんどなかったし、コーナリングの練習をたっぷりできて楽しかった。

折角だから奈良で天理ラーメンを食べて帰ろう、と思うもなかなか店が見つからない。
結局田原本まで来て彩華ラーメンを発見する。
5年ぶりくらいになるか。
調子に乗って大(2玉)を頼んだが、失敗だった。
平らげたはいいが、胃にずっしり。
シートベルトで腹が圧迫されて、顔を青くしつつ、最後のひと踏ん張りと根性で西名阪経由にて帰宅。
西名阪も ETC の通勤割引が利いて、半額で通れた。

とにもかくにも、無事に期限までに帰れてよかった。
走行距離510.8km、給油ガソリン28.86Lで、17.69km/L。
アップダウンが多くて飛ばし気味だった割には、巡航時間が長かったせいかメーカー発表の JC08 モード燃費に近い数字が出たかな。

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コメント(3)

 いやぁ、日帰りでここまで往復するのはさすがに根性が要ったでしょ。

 時間の都合もあって致し方ないのでしょうが、補駝駱山寺にも寄って、例の「補駝駱渡海」に使用されたという渡海舟なんぞも見てきて欲しかったなぁ。

あな恥ずかしや。誤字ってしまった。

「補駝駱山寺」(誤)→「補陀洛山寺」(正)
「補駝駱渡海」(誤)→「補陀洛渡海」(正)

 いやぁ、うろ覚えで書き込んで、恥をかいちまった。

車がよかったし道も一部を除き混んでなかったので、ストレスなく走れましたね。
先日は甲賀市、昨日は福知山市→南丹市と日帰りでオンボロ軽自動車で仕事に行ってますんで、レジャーということを考えればへっちゃらですよ。

補陀洛山寺は古い本堂があるでなし、時間の問題に加えてあんまり興味がそそられなかったですね。
次回は行ってみようかな。
十津川村のダムとか吊橋とかも行きたいですね。
こないだは夜だったので気配がわかるだけで何も見えませんでしたから。
勝浦温泉あたりの名勝とか、物心ついたばかりくらいの頃に行ったと思われる串本海中公園とかも宿題です。

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