YouTube なんかの外国の動画投稿サイトで、日本製のアニメ作品に英語やスペイン語の字幕が付けられたものがよくアップロードされている。
これらは必ずしも公式の外国語版ではない。
有志のファンが勝手に字幕を作成したものもあり、そういうものは「 fansub 」と呼ばれている。
公式の外国語版が発売されていなくても、現地の国家がベルヌ条約や万国著作権条約に加盟していれば fansub の公開流通は違法だと思われるのだが、公式の外国語版が発売されるまでは権利者に黙認されているのが現状らしい。
一方、日本製のノベルゲームを有志のファンが勝手に日本語に翻訳するという試みも存在する。
PC 用のゲームソフトであれば、家庭用ゲームソフトとは違って、日本語版を入手してデータを書き換えれば外国語化できる。
とはいえノベルゲームは翻訳を行うべき分量が多いからだろう、完成に至ったプロジェクトというのは少数派だ。
(ノベルゲームのシナリオのボリュームは少なくとも文庫本二冊か三冊分くらいは覚悟する必要があり、四冊か五冊分くらいあるものも珍しくない。)
そんななか、白眉なのが『うみねこのなく頃に』の英語化プロジェクトだ。
2009年1月現在、日本語の原作は4作目までリリースされているが、英語版は3作目まで翻訳が完了している。
英語化プロジェクトチームは作品にちなんで「 THE WITCH HUNT 」(魔女狩り)と名乗っているが、実は EP4 本編で、劇中の謎に挑む海外のオカルト・マニアが「ウィッチハンター」を自称しているという描写がある。
英語化プロジェクトチームが原作者から受け取ったというメールによると、原作者から彼らに対するリスペクトなのだという。
(メールは彼らのウェブサイト「 Witch Hunt Translation Project 」に掲載されている。)
無断翻訳を咎めることなく、賞賛して自作のネタに取り込むとは、同人ソフト製作者ならではの対応だ。
大した連中だ、と思ってウェブサイトを読んでいたら、作品紹介のページの初っ端に日本語地名のスペルミスがあった。
間違いを指摘しつつ、日本から応援している旨を英語のメールで伝えたところ、ご丁寧に日本語で返信が来た。
ウェブ担当者は翻訳主幹でもあるのだが、さすが翻訳主幹だけあって、日本語が堪能。
で、折角縁ができたことだし試しに英語化パッチを使い、ざっと読んでみた。
英語に翻訳するのは辛いだろうな、と思っていた部分も見事に翻訳されている。
劇中で漢字について言及している部分についても、日本語フォントを内蔵することで対応しており、行き届いている。
ただ、誤訳ではないが作品の性質上気になる部分をいくつか見つけたので、その旨を拙い英語で伝えたところ、礼とともに「仮メンバーにならないか」と誘われた。
翻訳作業中に判らないことがあれば辞書をあたったり日本人に尋ねたりしているけど、常勤メンバーが居ると心強い、という。
仮メンバーといっても、質問に答えるだけで他に特に何もしなくていいとのこと。
それくらいなら OK ということで、仮メンバー入り。
翻訳主幹は本当に日本語が堪能なので、ほとんど私の仕事はないと思うが、私ごときでも役に立てれば幸いである。
聞いたところでは、アメリカ人のほかにベルギー人やらフランス人やらブラジル人やらがプロジェクトに参加しているとのこと。
実にワールドワイドだ。
この件で初めて知ったのだが、日本で委託販売されているアニメやゲーム関連の同人作品を翻訳なしにそのまま海外に販売している業者が日本にある。
fansub ポータルサイト「 AnimeSuki 」のフォーラムを見ると、『うみねこのなく頃に』の最新作をリリース直後に購入して日本語で読み、作中の謎について議論しているファンたちが居る。
その議論は日本人と遜色がない。
世界に何十億人も居れば、その中に猛者が何人も居るのは当然といえば当然なのだが、素直に感心してしまった。
関連サイト
Witch Hunt Translation Project
http://www.witch-hunt.com/
Umineko no Naku Koro ni - Baka-Tsuki
http://www.baka-tsuki.net/project/index.php?title=Umineko_no_Naku_Koro_ni
Games - AnimeSuki Forum
http://forums.animesuki.com/forumdisplay.php?f=33
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