単純に私が世間知らずなだけなんでしょうが。
ふと調べてみると、意外にも日本のノベル型ゲームは英訳されていることが判った。
例えば、『加奈 ~いもうと~』。
英語版の題名は『 Kana: Little Sister 』。
原作が発売されてから3年後の2002年の発売ということなので、。
ゲームサイト「 Moby Games 」のユーザーレビューには、賛辞が連ねられている。
英語圏の人々にも感動が伝わってるのが微笑ましい。
『加奈』の翻訳販売を出掛けた会社「 G-collections 」は現在『家族計画』の翻訳作業中で、2008年内発売予定の模様。
英語版の題名は『 Family Project - Kazoku Keikaku - 』。
Youtube にプロモーション動画がアップロードされている。
煽り文句に
「 From the writer of Kana ~ Little Sister ~ and Yume Miru Kusuri 」
(『加奈 ~いもうと~』と『ユメミルクスリ』のライターが送る)
「 "The greatest bishoujo game of all time" (2007 Erogamescape ranking) 」
(「歴代最高の美少女ゲーム」(2007年 Erogamescape ランキング))
とありますな。
『ユメミルクスリ』みたいなマイナーな作品も英訳されていたとは。
でも『加奈』と『ユメミルクスリ』のライターは違うはず。
『加奈』と『家族計画』のシナリオを手がけた山田一(田中ロミオ)は、『ユメミルクスリ』では企画にしかクレジットされていない。
シナリオの手伝い程度ならやってるかもしれないけど。
日本最大のエロゲーレビューサイト「 Erogamescape 」が引き合いに出されているというのは趣き深い。
ちなみに本当に『家族計画』が「 Erogamescape 」の統計でトップに来るのか、2008年11月2日現在のデータで調べてみると、確かに得点の平均値でトップにあった。
得点の中央値では、『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO 』が1位になっていた。
投票データ数が100未満の作品を除外すると、『家族計画』は2位だった。
(今回の話とは関係ないけど『車輪の国、向日葵の少女』の得点は過大評価だと思う。)
それにしても『加奈』をプレイして『家族計画』もプレイしようという人は、『加奈』には微塵もない強烈なギャグの応酬に耐えられるんだろうか。
そもそもギャグ自体がちゃんと翻訳されるかどうか心配だ。
例えば、こういうの。
「しつこいのよ、しつこいの! あんまりしつこいと、自慢のアンデス空手でプチ殺し(小さく殺す……半殺しの意)てあげるんだからあっ! だってもダンテもないのよこのデビル野郎! あなたの靴の裏で叩き潰したゴキブリのような顔も見たくないし、靴の裏でゴキブリを叩き潰すときの音みたいな声も聞きたくないのよ! 黙って、黙ってよこのフニャチン! わたしが言いたいのはただ一つ、あなたみたいなケツの穴ファシストなんて大嫌いってことよ! 変わった? そうよわたしは変わったのよ! 未知の宇宙エネルギー・マグネトライトロンの聖光を浴びて超越浄土世界への扉をくぐる資格を得たのが二つ前の仏滅の日のことよ! そら変わるっちゅうねん! そうよ私はさそり座の女になったの! いい、わかった!? わかったならあんたが撮った写真とネガを全部返しなさい! そうしないとあなたの自慢のケツの穴に炭酸浣腸ぶちこんでやるんだから! ふぁっきゅーめーんっ!」
「あなたの粗末なご面相に比べたら億倍もマシよ、この人面害虫! シアン化水素溶液を 飲ませて殺して焼却したあとゴキブリと一緒に骨壷に詰めて、 肥溜めに沈めてやるから!」
団鬼六ネタとか「大宇宙超真理曼荼羅」なんかはそれがギャグと判ってもらえるかどうかも怪しい。
……いや、プレイしたことがない人には誤解を受けるでしょうが、涙なしには語れない感動作なんですよ、これでも。
まあ、英語圏の人々も『加奈』で感動してくれたのなら、ギャグを耐え抜けば『家族計画』でも感動してくれるでしょう。
翻訳が大変、と言えば。
傑作『 Ever17 - the out of infinity - 』が「 infinity 」シリーズで唯一英語版がアメリカで発売されている(2005年発売)。
残念ながら英語版の版元である「 Hirameki International 」が2008年1月に事業を停止してしまったため絶版になっている。
『 Ever17 』はあまり売れず大赤字になったらしい。
Macworld の記事によると、ただでさえアメリカではノベルゲームはゲームと見なされず小売店側が扱いたがらないそうだ。
そしてポルノ描写もガン・アクションもないとくれば、なおさら厳しいんでしょうな。
日本のように『弟切草』や『かまいたちの夜』に始まるノベル型ゲームの歴史を経ていないから、一般消費者がノベル型ゲームというジャンル自体を認知していない、と。
ノベル型ゲームは制作費の安さが特徴だから、原作の日本メーカーは零細企業が多くて欧米じゃ知名度は皆無だろう。
「あの○○社のゲームだから」仕入れてみようか、買ってみようかってことにはなりにくい。
『逆転裁判』は英訳されてそこそこ売れたらしいけど、「読むだけ」じゃないし版元は欧米でも知名度があるだろうカプコンだし。
それはさておき、体験版がダウンロードサイトにあったのでプレイしてみた。
造語が多い八神ココの台詞は訳さずに直接アルファベット表記したり、英語風にアレンジしたり、やはり翻訳者泣かせな様子。
ゲームサイトでの評価を探ってみると、投票点数は高いけどレビューの投稿量はわずか。英語版 wikipedia で結末までのネタバレ全開な粗筋が書かれているのは、入手困難なことへの意趣返し、あるいは「ノベル型ゲームにはこんな面白いストーリーがあるんだよ」という啓発だろうか。
ともあれ売れなくても内容は優れているので、さすがコアなファンサイトが作られております。(注:ネタバレ全開)
『 Ever17 』に衝撃を受けてか、有志が『 Remember11 』の翻訳に取り組んでいるけど、尻切れトンボの作品の翻訳に労力を注いでるのを見ると複雑な気分。
サスペンス感のある面白い作品ではあるんだけども。
ちなみに有志による翻訳が完了している作品のリストが「 Visual Novel Fan Translations 」にある。
『うみねこのなく頃に』も Episode2 まで翻訳が進んでいるらしい。
よくやるなあ。
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