恋愛アドベンチャーゲーム『 Memories Off 』シリーズの4作目、『 Memories Off ~それから~』。
プレイしたのはかなり前……忘れたのでセーブデータの日付を調べてみたらちょうど1年前くらい。
ストーリーの細かい部分も忘れてしまったのだけど、まだ記事を書いていないことにふと気づいたので更に記憶が薄まる前に書いておくことにした。
このシリーズの特徴としては、まず、舞台が同じ地域であること。
湘南がモデルとなっていると思われる。
次に、作品の発売順に作品内の時代設定が並んでいること。
前作までのキャラクターが脇役として作中に登場するが、シリーズが後になるほど少しずつ年をとっていることになる。
さらに、主人公が過去に女性との交際経験があるか、現在交際中であること。
第1作、第3作は主人公は交際していた女の子と自分の意思に反して別れて一人身。
第2作では女の子と交際中。
彼女への未練に主人公が苦しむか、他の女性に対して新しく芽生えた恋愛感情と彼女への未練の狭間で主人公が苦しむのがストーリーのパターンとなっている。
そして個人的に重要なのが、2000円の廉価版が発売されていること。
安売りされてなければ私がシリーズを買い続けることはなかったし、2000円という値段に対してシナリオ・グラフィック・音楽・ゲームシステムの完成度がどれも高く満足できるからだ。
シリーズ前作『想い出にかわる君 ~ Memories Off ~』では主人公が高校生ではなく大学生になり、物語上の舞台も学校ではなく主人公の行きつけの喫茶店に変わり、青春群像劇的な香りを漂わせていた。
メインヒロインも男性に媚びない奔放な性格の女性だったうえ、彼女を担当する声優の演技力が低かった。
受けがあまり良くなかったせいか、本作では主人公は第二作と同じ高校の生徒になっている。
メインヒロインも第2作同様、同じ高校のピアノを嗜む少女だ。
声優のキャスティングも万全。
その一方で、主人公がアルバイト先の喫茶店に集う学校外の様々な若者たちと関わりを持つということから、前作での試みをも取り込んだ形となっている。
ストーリーは主人公が高校卒業を間近に控えたバレンタインデーの日に始まる。
主人公は高校生活を仲睦まじく共に過ごしてきた彼女から「最初から好きではなかった」と別れを告げられてしまう。
ゲームのパッケージの表には彼女一人だけがデカデカと描かれているだけに、彼女の言葉が本心でないことはプレイヤーにはバレバレなのだが、ともかく唐突な別れに混乱しつつ、主人公は残りの高校生活を送らなければならなくなる。
彼女の真意を追及するか、高校のクラスメイトやアルバイト先の同僚、常連客と親しくなって新しい恋心が芽生えるか。
どの道を辿るにせよ、主人公は自分自身や相手の少女が抱える問題と対峙しなければならない。
前述のとおり、本作でも前作までの登場人物が何人も脇役として登場するのだが、本作のメインヒロイン相手のシナリオではある一人がチョイ役ではなく深く関わってくるのが特徴的だ。
本作に登場する女性たちのなかで個人的に印象深いのは、主人公のアルバイト先の同僚の少女。
子供のような天真爛漫な行動と主人公を煙に巻く珍奇な発言を繰り返すが、その一方で妙に知的なポテンシャルを窺わせる「不思議ちゃん」キャラだ。
彼女と親しくなると彼女の隠していた秘密が明らかになる。
主人公がそれを彼女にぶつけた時の彼女の豹変ぶりがすごい。
ヒロインの豹変による恐怖といえば『ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編』が有名だが、それに近いインパクトがある。
本作ではヒロインから主人公が露骨な憎悪を浴びせられることになり、表向きの姿とのギャップが際立つ。
本作のヒロインたちとの後日談を描いたファンディスク的作品『 Memories Off ~それから again ~ 』もプレイしたが、そちらでは同僚の少女は他のヒロインと恋仲になった展開での脇役でしかなく、後日談が収録されていないのが残念だった。
ちなみに主人公の義理の妹役を演じた声優が『 Memories Off ~それから again ~ 』では変更されている。
アイドル声優として売れ始めた頃に声優業と並行してアダルトビデオに出演していたことが発覚したため、事務所をクビになったそうだ。
プレイしたことのある『北へ。~ Diamond Dust ~』にも出演してたらしい。
指摘されないと気づかなかった。
シリーズ第2作と第3作では、プレイヤーが選択肢を誤ると単純に恋愛が成就しないだけではなくヒロインが死んでしまうバッドエンドがあった。
さすがに本作ではヒロインが死ぬことはないが、精神を病んでしまう展開がある。
悪趣味な楽しみ方ではあるが、バッドエンドが時に残酷なのも本シリーズの魅力の一つだ。
本作のメインヒロインは清楚で健気で甲斐甲斐しく、男にとって都合のいい女性が顕現したような存在。
しかし不本意ながら主人公と別れる羽目になるわ、シナリオによっては主人公と復縁したと思いきや別の女に主人公を取られるわと酷い扱いである。
主人公に対して隠していた事情があるだけに、本人は自業自得と解釈しているけど哀れだ。
その反動で、ファンディスクではコテコテに甘いカップルぶりを見せ付けられることになる。
メインヒロインのファンの人は大いに溜飲を下げたことだろう。
飛びぬけて優れた点があるという訳ではないけども、丁寧に作られていて総合的に完成度が高い伝統は健在。
前作での作風の変化にガッカリした向きの人も満足させられる佳作だ。

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