10 décembre 2006

近つ飛鳥観光

飛鳥、というと奈良県の明日香村が有名だが、大阪の羽曳野にも飛鳥という地名がある。
近頃の私は神社がマイブーム。
その流れで読んだ「古事記」の解説本によると、由来はこうだ。

ある時、皇位を狙う弟・墨江の中王に難波宮で殺されかけた履中天皇は、羽曳野を経由して奈良の石上神宮に逃げる。
その天皇のもとに別の弟、水歯別の命がやってくるが、墨江の中王とグルなのではないかと天皇は疑い、拝謁を拒否する。
「反逆するつもりがないなら墨江の中王を殺して来い」と命じられた水歯別の命は難波宮に行き、墨江の中王の側近であるソバカリをそそのかして墨江の中王を暗殺する。
ソバカリを率いて奈良に向かった水歯別の命は、羽曳野から山を越える前に祝宴を開く。
そそのかされて簡単に主君を殺すような奴は危ないので、ソバカリが大きいお椀で酒を飲んでいる隙に水歯別の命はソバカリの首を斬る。
そして明日(あす)になってから、奈良に向かうことにした。
そういうわけで、羽曳野のその地を飛鳥と言うようになった。
それから山を越えて奈良に入った水歯別の命は、人を殺して穢れている身をそそぐために禊をする。
そして明日(あす)になってから、石上神宮に向かうことにした。
そういうわけで、奈良のその地も飛鳥と言うようになった。
難波宮に近い羽曳野の方が「近つ飛鳥」、難波宮から遠い奈良の方が「遠つ飛鳥」である。

この話でもわかるように羽曳野は大阪と奈良の交通の要所だった。
大量の古墳が見つかっており、歴史学上で河内王権と呼ばれる政治勢力があったと考えられている。
その古墳だらけの近つ飛鳥の山の中に建てられた博物館が、大阪府立近つ飛鳥博物館だ。
名前だけ見て「つ」って何だろうと長い間気になっていたこの博物館を、疑問が氷解した記念に訪ねてみた。

近鉄阿部野橋駅から近鉄南大阪線に乗り、喜志で降りる。
7年前、大阪芸術大学の学園祭を訪ねて以来の喜志。
駅前にはそれなりに商店は固まっているけど、相変わらず田舎だ。
ここから金剛バスの「阪南ネオポリス行き」に乗る。
大阪芸術大学の前を経由して終点、阪南ネオポリスで下車。
阪南ネオポリスという大袈裟な名前だが、要するに山を拓いて一戸建て住宅を造成した新興住宅地だ。
バス停から山側に向かうと、「風土記の丘」と名づけられた森林公園に入る。
石を投げれば古墳に当たる、といった感じで古墳がウジャウジャ埋まってるらしい。
ハイキングコースのように整備されていて、石室がむき出しになった古墳を見ることができる。
クネクネとしたなだらかな道を歩いていくと、山の中に不釣合いな豪奢な近代的建築物が現れる。
近つ飛鳥博物館だ。
サントリーミュージアムを設計した高名な建築家、安藤忠雄による設計で、いかにもバブル経済期に計画された無駄に金のかかったハコモノである。

近つ飛鳥博物館の展示内容は、古墳時代から飛鳥時代にかけての品々だ。
古墳やその近辺から発掘された副葬品、埴輪、刀剣、といったものが展示されている。
錆びた金属の塊とか単色の須恵器とかばかりで、非常に地味。
仁徳天皇陵の建設の模様を再現したミニチュア模型もあって、ミニチュアといっても元が巨大なだけに巨大な模型なんだけど、やはり色彩的に地味だ。
古墳造成に用いられたらしい木製の橇、修羅もここで展示されているが、無骨で腐りかけた木材なので巨大だけどやはり地味だ。
いや、私はこういうの好きだけどね。
仁徳天皇陵の模型を中心に置いてスロープで降りていく展示ホールとか、高い石塔をそのまま収納した吹き抜けの空間とか、内部も小奇麗で凝った作りではあるのだけど、背伸びしすぎた感がある。
立地の悪さも災いしてか、休日だというのにガラガラだ。
経営状態は推して知るべしだろう。
大阪府民の負の資産と言い切ってもいいと思う。
周辺の緑を含め、河内地方の小学校の生徒にとってはいい遠足コースになっているだろうと思われるのが救いだろうか。

帰りのバスの時間がうまく合わなかったので、徒歩で道を下る。
途中でわき道に入り歩く。
偶然にも大阪芸術大学で学園祭が行われていたので立ち寄ったのだ。
門から建物までの、毎日通学するとなると挫けそうな急峻な坂、立ち並ぶ建物の数々、懐かしい。
全然変わっていない。
芸大だけにコスプレが板についている学生の多さも変わりない。
今年の流行は、やはり涼宮ハルヒだ。

芸大の平和を守るゲイダイガーのショーも健在だった。
何故か無性に嬉しい。
途中雨が降り出して、足元のタイルが濡れて滑るにも関わらず激しいアクションを見せてくれた。
さすがゲイダイガーだぜ。
一方、忍術研究会のチャンバラも沢山の観客を集めていた。
途中からだったのであまり観れなかったけど、これまた懐かしくて嬉しい。
ライブに来ていたどこぞのバンドはサックスとトロンボーンを配した変り種。
なかなか悪くない。
日が暮れているにも関わらずついついアンコール演奏まで聴いてしまった。

芸大は一芸に秀でた人間の集まりなのでやはり学園祭が楽しい。
若者たちの活力ってやつを吸収させていただきました。

何だかんだで楽しんだ、秋の一日。

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コメント(2)

懐かしいけど、懐かしくない写真(笑)
あの広場は卒業手前にできたので・・・。

かつて芸大生だったけれど、学際には二回しか行ったことないわ。それよりも「近つ飛鳥博物館」に行っておけば良かった学生の時に・・・。
因みにうちの大学でも上の広場を作成している最中に遺跡が見つかって、一時工事がストップ。工事現場に遺跡見学に行った記憶があります。しかしチョークで囲まれた丸い印に、それ以上の風景を見ることが出来なくて、自分の想像力の限界を感じました・・・。

坂に挫けなかった御方でございますね。
そういや、昔訪ねたときキャンパスの奥の方は結構新しい感じでしたね。
一番奥の建物に遺跡関係の解説が展示されてたような覚えがあります。

博物館の展示物にも腐食が激しく原型をとどめていないものが多くて、キャプションに書かれた解説が本当なのか私には判りませんでした。
日本は雨が多くて土壌も物が腐りやすいものである上に木造文化ですから、遺跡が素人には厳しいのは仕方ないでしょう。

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