岩岡ヒサエ『ゆめの底』(宙出版)
ISBN:4776792559
本屋で表紙を見て何かピンと来るものがあったのでジャケ買い。
結果大当たり。
眠りについた少女がふと気づくとコンビニエンスストアの前に居た。
そこは夢のできるところ。
生の世界と死の世界の狭間にあるこの場所に、いくつもの思いがやって来ては去っていく。
丸っこくてぷにぷにしててキュートでありながら、繊細で軽い独特のタッチ。
枠線以外定規を使わないことから生まれているのだろう、心地よい酩酊感がある。
まったりほっこりできるファンタジーだ。
こうの史代『さんさん録』(全2巻、アクションコミックス)
ISBN:4575940046
ISBN:457594016X
主人公は定年を過ぎて妻に先立たれた初老の男、参平。
自分の家を引き払い息子一家とともに暮らすことになった彼は、荷物の中から一冊のファイルを見つける。
それは亡き妻が参平に残した生活ノートだった。
そのノートを読んで家事を学び実践する参平と一家の日々を描いた作品。
シリアスな展開でしんみりさせておいて毎回オチをつける、こうの史代お得意の匠の技を堪能できる。
ついでに生活の知恵も学べて非常にお得。
こうの史代にハズレなし。
五十嵐大介『リトル・フォレスト』(全2巻、ワイド KC アフタヌーン)
ISBN:406337551X
ISBN:406337582X
主人公のいち子は、街の生活をやめて東北地方のとある村、小森に帰り一人暮らしをしている。
畑を耕し作物を育て、料理をして食べる。
手間はかかるし不便だけど、その生活の何と豊かに見えることか。
作中で描かれる料理の模様を読むたび口に唾が湧いてきて、自分も田舎で暮らしたくなる。
しかし農村での暮らしは甘いものではないことも教えてくれる。
五十嵐大介の他の作品世界とは少々毛色が違ってイメージや超自然の世界が展開されることはないけれど、彼の中には「人間は自然から恵みを受け取って生きている」という自然への崇敬がベースにあって、その崇敬の部分を抽出して展開したのがこの作品なんだと思う。
読んで大満足するとともに、買ったきり読まずに1年放置してたのを後悔した。
五十嵐大介のマンガはよくわからん、と言う人でもエッセイマンガの気分で読めるはず。
火事で焼けてももう一度買いなおしたいと思うお気に入りの一作。
志村貴子『どうにかなる日々』(全2巻、F COMICS)
ISBN:4872337255
ISBN:4872338421
志村貴子の作品はキャラクターの無表情の表情であったり、ぼけーっとした表情だったりが生み出す「静止」の感覚とゆるい雰囲気が特徴的。
この『どうにかなる日々』はそんな雰囲気で淡々と恋愛模様描かれる、一話完結の短編集。
面白いとかつまらないとかではなくて、志村貴子だなあとしか言えない。
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