日本各地で行われている『チェコアニメ映画祭2006』。
10月8日、全4プログラムのうち日程の都合で一つだけだけど観てきた。
チェコは日本みたいなマンガ的作品ではないもののアニメ作りが盛んで、児童向けの絵本的なお話とか、児童文学のアニメ化のみならず大人向けのアートでハードな短編も作られている。
プログラムもそういった諸作品織り交ぜて構成されていた。
『カバのティリーネック』
絵本的な鮮やかな色彩と、紙のような動きのキャラクターが特徴的な一作。
自分の容貌の醜さを気にするカバの少年が、魔法の花に頼んで様々な生き物に変身させてもらう。
しかし散々な目に遭って自分がカバであることの良さを痛感し満足を得るという教訓話。
『くじらのらじく』
パペット・アニメ。
学校のテストのことを教わろうと、4人の少年たちが不思議な森の中に入り込んで物知りのクジラに会いに行く。
ようやく会えたクジラは確かに物知りだったが、知識が偏っていて少年たちには何の役にも立たないというお話。
『おじいさんは40人』
おばあさんと二人暮しのおじいさんがある時魔法の壷を発見する。
物を入れるといくつも同じものを取り出せるという壷だ。
その壷におじいさんが落ちてしまったため、おじいさんが40人に増えてしまった。
しかもそのおじいさんが皆同じ行動をとってしまうので、生活のあらゆる面で困難を来たすという騒動を描いた台詞なしの作品。
『反復』
クロッキー風の絵で描かれた作品。
犬を連れて歩く男、自殺しようとしては失敗する男、妻に食事を与えられる男などが繰り返し描かれる。
だがある時犬が逃げてしまい、繰り返される内容の組み合わせがずれてしまう。
それでもずれたまま、生活は繰り返される、という内容の台詞のない一編。
『カフェ』
モノクロの実写で映し出されるカフェの人々。
若い男女やおばさんグループが談笑している。
何事もなさそうな彼らが実際に考えているスケベ心や人物評価などがアニメーションの絵による比喩で毒気豊かに描かれるコミカルな作品。
『共存』
結婚した男女。
幸せなはずの結婚生活だが、レース編みに没頭する妻に夫はうんざりしてしまう。
夫は息詰まる生活から逃げ出そうとするが、妻の編むレースが次々と彼の行く手を阻み囲い込んでしまう。
レースをアニメーションに使うという珍しさと、結婚生活を皮肉った展開にニヤリとさせられる一作。
『ある粉屋の話』
戦争に出かけた息子が、10年ぶりだか20年ぶりだかに帰ってくる。
兵士姿ですっかり見た目が変わった彼だが妹はすぐに兄だと気づく。
いたずら心で両親には正体を隠して家に一泊させるが、正体に気づかない両親は所持金に目がくらんで息子を殺し川に捨ててしまう。
娘から真相を告げられた両親は悲嘆にくれて死ぬ。
実写の怪人が登場して話を読み上げるという構成の教訓話なんだけど、不気味で暗い色調やクローズ・アップが子供たちのトラウマになること必至だ。
『郵便屋さんの話』
郵便局で居眠りをしてそのまま夜を迎えた郵便配達の男が目を覚ますと、郵便局に住む妖精たちが仕事をしていた。
封を開けずに中身を知ることが出来る妖精たちが、あて先も差出人の住所も判らない恋文を見つける。
男はその手紙を届けるため各地を歩き回り、ついに手紙を届けるというお話。
妖精が出てきたところでカレル・チャペックの童話集『長い長いお医者さんの話』にある一編ってことに気づいた。
キャラクターもヨセフ・チャペックによる挿絵のデザインをそのまま使っている。
こんな感じで、なかなかお目にかかれないものを観ることが出来て興味深かった。
他の3プログラムではどんな作品が上映されたのか、気になるところ。
最近のコメント