11 octobre 2006

劇団赤鬼『シリウスに向かって撃て!』を観た

もう1ヶ月前、9月のことではありますが、神戸アートビレッジセンター( KAVC )にて観劇。
普通はなかなか観劇のために神戸まで行く気にはならないが、「野球が題材になってるから」という理由だけで思い切って選択。
小演劇界には疎いので、知らない劇団だったのだけど結構有名どころみたい。
客席はほぼ満員だった。

お話は SF を絡めたエンターテイメント志向。
2026年、人類が新たに手に入れていた新エネルギー「シリウス」の暴走で地球は住めなくなってしまい、急遽人類は地球外へ避難を始める。
避難のどさくさで、「シリウス」を発明した女性科学者、こそ泥、こそ泥を逮捕した刑事の3人が脱出用の小型宇宙船に乗り合わせることになった。
ところが刑事が船内で拳銃を発砲したせいで宇宙船が故障。
その作用で3人は20年前の2006年にタイムスリップしてしまう。
2006年、女性科学者は少年野球チームのエースで4番、な野球少女だった。
野球を続けることを父親に反対されていた彼女は、大会で優勝できなければ野球をやめると約束させられていた。
そして決勝戦、一打逆転のチャンスに凡退し優勝を逃した彼女は学問に打ち込む毎日を送り、シリウスを発明、地球を破滅に追いこむことになる。
2026年から来た3人は、ちょうど決勝戦の直前にタイムスリップしていた。
こそ泥は自分の念願を果たすためにどこかへ去ってしまう。
残る2人は少女時代の女性科学者に野球を続けさせて20年後の破滅を回避しようと、父親を説得したり、彼女を励ましたりと奔走する。

どう考えてもタイム・パラドックスにぶち当たってしまう話で、結局その矛盾を解決できておらずストーリーは破綻している。
そこを舞台上を駆け回る生き生きとした登場人物たちの勢いで突っ走り、「まあ、いいか」と思わせてしまう奔放さが魅力的ではある。

練習や決勝戦での野球シーンはさすがに実際にボールを投げたり打ったりはできないので、投げ真似、打ち真似になるが、チームのメンバー9人と監督が舞台の左右に、あるいは壇を上下に駆け回る。
時に音楽に合わせて全員がマスゲームのごとく忙しく隊形を組み、入れ替わりながら動いていく。
スピード感溢れる爽快な舞台空間がそこに生まれる。
これで1日2回公演をやるのは役者に相当の体力が要るだろうなあと感心させられることしきり。

一番感心したのは、舞台上の高いところ、舞台幅いっぱいに掲げられた金属の格子だった。
ちょっと下手方向(左)に下がるよう傾斜がつけられている。
舞台のアクセントにするためのデザイン用のセットなのかな、と思っていたが、決勝戦のシーンで正体が判った。
ゲーム展開に合わせて数字が書かれた板を舞台上手の袖から滑らせていくのだ。
そう、野球のスコアボードだったのである。
枠内の全てに数字が埋まったとき、物語は大団円を迎え、舞台上にスコアが大きく輝くという演出なのだった。
単純な仕組みではあるけれど、格好よく決まっていたと思う。

整合性のないストーリーには不満があるものの、舞台演劇のケレン味と迫力には満足の行く芝居でありました。

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