8 octobre 2006

『ゆれる』を観た


観たのは8月のことですが。

東京で写真家として成功し奔放に暮らしている主人公のタケルは母の一周忌で山梨へ帰郷する。
その道すがら、給油のために実家のガソリン屋に立ち寄ると、幼馴染のチエコが働いていた。
タケルは父親と折り合いが悪く、親族同士の会食の際も口論になってしまうが、温和で気配り屋の兄、ミノルの取り成しでその場を収められる。
ミノルはタケルと違いガソリン屋を継ぎ、父と二人暮しをしていた。
その日東京へ帰る途中、忘れ物を取りに再び実家のガソリン屋に立ち寄ったタケルは、チエコを彼女のアパートまで送り届け、彼女と肉体関係を持ってしまう。
夜が更けたためミノルは東京へ帰らずに実家へ戻るが、そこではミノルが一人で洗濯物を畳んでいた。
翌日、タケル、ミノル、チエコの三人は連れ立って渓谷へ向かった。
幼い頃両親に連れて来てもらったという場所に来て、ミノルは一人はしゃぐ。
二人きりになりチエコはタケルと一緒に東京へ出たいと言うが、タケルはそれをはぐらかし、吊橋を渡って一人で写真を撮りに行ってしまう。
しばらくしてチエコはタケルを追いかけ吊橋を渡ろうとする。
ミノルもチエコを追いかけ吊橋を渡ろうとする。
揺れる吊橋が怖いミノルはチエコにしがみつくが、チエコに「触らないで!」と強く拒絶されてしまう。
吊橋の上で揉めている二人の様子を、タケルは地上から見ていた。
カメラはクローズ・アップでタケルの顔を映し続ける。
次にカメラが吊橋を映し出したとき、そこにチエコの姿はなく、ミノルだけが水面を見つめ呆然としていた。
すぐにタケルは兄のもとへ駆けつけ警察を呼ぶ。
警察の取調べに対しタケルは、なぜか「自分はチエコが落ちた瞬間を見ていない」と証言する。
チエコは水死体で発見され、一旦は転落事故として処理される。
しかしミノルが給油中の客に暴行を働き警察の取調べを受け、そこで「チエコを突き落とした」と自白してしまう。
逮捕されたミノルを助け出すため、タケルは弁護士をしている叔父を大金を払って雇う。そして接見と裁判の過程で、タケルとミノルの秘めていた確執が徐々に明らかになっていく。

ミノルは本当にチエコを突き落としたのか?
タケルはミノルが無罪であることを知っていて弁護活動をしているのか?
その疑問が物語の軸となり、真相を巡って文字通り「ゆれる」兄弟の心模様が描かれる。
ミステリーのような緊張感で観客の心を繋ぎとめつつ、人物の心理を浮きだたせる展開が上手い。
そして何より、タケルを演じるオダギリジョー、ミノルを演じる香川照之両名の演技がお見事。
特に香川照之には怖さを覚えるくらい。
さらに検察官役で木村祐一が登場。
上手いのか下手なのかよく判らないが存在感だけは強い怪演を見せているのも面白い。
評判がいいのも頷ける良作でした。

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