juillet 2006アーカイブ

先頃、とあるマンガ専門書店に足を運んだところ、『 DEATH NOTE 』各巻が1平方メートルほどにわたり平積みにされており、「○巻は品切れ中です」などという札もあった。
実写映画化されて売れに売れているようだ。
かく言う私は未読。
週刊少年ジャンプのマンガ作品は基本的にスルーしているからだ。
例外的に『 DEATH NOTE 』については購入候補に入っているのだけど、いつ買うかは未定。
とはいえ今月がマンガ原作映画のロードショウ月間なので、この機会に映画の方を先に観ておくことにした。

物語は「努力・友情・勝利」をモットーとする週刊少年ジャンプの作品らしくなく、ピカレスク・ロマン的だ。

世界中で犯罪者や犯罪の容疑者が次々と突然死するという事件が発生する。
人々の中にはそれを救世主「キラ」の手によるものとし、彼を信奉する者が現れるようになった。
事件の犯人は、検事を目指し大学生にして司法試験に合格した頭脳明晰な青年、ライトであった。
彼はある日、死神リュークの落とした「デスノート」を拾う。
そのノートにある人物の顔を思い浮かべながらその名前を書くと、名前を書かれた人物は死んでしまう。
ライトはそのノートを使い、犯罪者のいない社会を作ろうとしていたのだ。

「キラ」の存在を察知した ICPO は、顔や素性が一切不明の名探偵「 L 」に捜査協力を依頼。
L は日本の関東地方に「キラ」が居ることを特定し、日本に捜査本部を設置する。
そして巧みな推理を展開し、ついに「キラ」の容疑者としてライトを特定する。
一方、ライトもまた知略を駆使して捜査の手を撹乱し、犯罪者の粛清を続けていく。
このライト対 L の知的勝負がこの作品の見所だ。

容疑者としてマークされたライトだが、幾度もの危険な局面を「デスノート」の特性を活用して巧みに切り抜けていく。
その展開が非常にスリリングで退屈しない。
作品の設定についても、主人公が大量殺人犯人であるにも関わらず、犯罪者への量刑について人々が抱いている感情的な不満を掬い上げて主人公への共感を誘うところが上手い。
その主人公が捜査の手を逃れるために、ついに罪のない人間も殺めるようになる。
少年マンガ雑誌に掲載される作品が殺人を肯定する訳にはいかないだろうから、映画が原作に忠実に作られるならばライトが敗北を迎えることは間違いないだろうが、果たしてライトの迎える運命がどのように描かれるのか、先が楽しみだ。

あえて難を言うならば、ライトと L のキャラクターが現実感に乏しいところが気になる。
しかし「デスノート」という小道具自体が明らかに非現実的な存在である以上、そこを突付くのは野暮というものだろう。

「マンガ原作の実写映画は原作を越えられない」の経験則に従えば、原作は非常に面白いに違いない。
いつか原作を読む日が来るのも楽しみにしている。

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今月はマンガ原作の映画がたくさん上映されるが、『ラブ★コン』もそうした作品の一つ。
一般にマンガ原作の映画というと原作以上の魅力を持つような秀作は少なくて、ガッカリ感を味わう方が多い。
しかし『ラブ★コン』については、たまたま Web で好意的な感想文を目にしたのと、原作を読んでいない分、自分の中に全く対比するようなイメージがないこともあって、思い切って映画館まで足を運んでみた。

物語は、大阪の高校を舞台にした、徹底したラブコメディ。
170cmという背の高さから失恋した経験を持つ少女、小泉と、159cmという背の低さから失恋した経験を持つ少年、大谷。
同じクラスで机を並べる二人は、漫才さながらの憎まれ口の叩きあいが絶えず、「学園のオール阪神巨人」という異名を持つ。
なんとか自分より背の高い彼氏を作りたいと願う小泉だったが、ある出来事をきっかけに、大谷に恋心を抱いてしまう。
しかし自分が大谷より身長が高いことと、大谷との楽しい関係が恋の告白とともに消え去ってしまうリスクを気にしてしまい、思い悩むことになる。
果たして小泉の恋の行方は、というお話。

CG を多用した過剰な演出はスベリかけギリギリではあるが、マンガ的な楽しさを持った空間を作り上げている。
TV 番組制作出身者のセンスだなあと思ったが、やはり監督は TV 番組制作出身者だった。
ポップな色調のセットやファッションも観ていて楽しい。
何よりよかったのは、舞台が大阪で、主人公たちが関西弁を話すこと。
私自身大阪人なので、関西弁の方が親近感が湧くし感情移入しやすい。
コミカルな雰囲気も増幅される。
小泉と大谷を演じる二人も関西出身なので、インチキ関西弁ではないのが素晴らしい(香川出身の小泉の方はたまに怪しい発音があるが)。
ヴィジュアル面でも、コミカルさ・可愛さ・格好よさを満たした子をうまく選んだな、と思う。

「あとに何か残る」タイプではないけれど、娯楽作としては十分及第点を与えられる映画作品だ。

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brave という英単語を見て、まず頭に浮かぶのは阪急ブレーブスだ。
志村や麻原という名前に特定の有名人を思い浮かべるのと同様、これはどうにもならない呪縛である。
映画『ブレイブ ストーリー』の宣伝ポスターを見るたびに、阪急ブレーブス末期のユニフォームが思い起こされ郷愁を誘われる。

そういうわけで、映画の中身にはあまり関心を覚えなかったのだけど『ブレイブ ストーリー』を観てきた。
本作は宮部みゆきの小説『ブレイブ・ストーリー』が原作のアニメーション映画だ。

ごく普通の小学5年生の少年、ワタルは「幽霊が出る」という噂の廃ビルに忍び込み、そこで不思議な少年が空中の扉の中へ入っていく姿を目撃する。
翌日登校したワタルは、不思議な少年が転校生のミツルであることを知る。
そして帰宅したワタルは、父が離婚し別の女性の下へ去っていこうとするところに出くわす。
家を飛び出し父を追うが見つからない。
廃ビルに向かったワタルはミツルが上級生にリンチを受けているところを目撃する。
ワタルの助けを得てミツルは魔法で上級生を撃退するのだった。
ワタルが帰宅すると、母がガス中毒で倒れていた。
1日のうちに平穏な日常を失ったワタルは、自身に降りかかってきた運命を変えるため、廃ビルに出現した「運命を変える扉」を開く。
その扉の向こうは異形の生き物たちが暮らす、剣と魔法の世界、「ヴィジョン」。
「ヴィジョン」で5つの宝玉を集めれば運命の女神に願いを一つだけ叶えてもらえるのだという。
そこにはミツルが一足早く訪れていて、宝玉集めを始めていた。
家族を取り戻すため、剣士となったワタルはミツルを探しつつ宝玉集めの冒険を始める。

原作は未読だが、文庫で上・中・下巻に分かれている大作を2時間映画にまとめているからだろうか、ワタルが「ヴィジョン」に至る過程や、「ヴィジョン」での冒険の過程はかなり省略されているのが見て取れる。
物語は、仲間とともに冒険を進めるワタルと「目的のためなら『ヴィジョン』の人々が犠牲になっても構わない」とするミツルの対立が軸となる。
オーソドックスな少年の成長物語として作られているので、どちらが勝利するかは推して知るべし。
ワタルはミツルの行為を非難するが、明確に論駁することができない。
「ダメなものはダメ」で押し切ろうとする大人の説教臭さを感じてしまい、私はワタルに感情移入できなかった。

一番感情移入できたのはワタルの父親だ。
ワタルを罠にかけようとする魔法使いがワタルに父の幻影を見せる。
その幻影は言う。
「我慢して働いて、自分は欲しいものを買うこともできない。そんなのはもううんざりなんだ!」
アニメの冒険映画ということで、映画館には家族連れが多かったが、お父さん方も共感したのではないだろうか。

以下ネタバレになるが、無事に冒険から帰還したワタルは母親との平穏な暮らしだけは確保する。
『ヴィジョン』で死んだはずのミツルも何故か願いが叶って死んだはずの妹と暮らしている。
しかしワタルの父の姿だけがそこにはない。

ワタルは運命を変えることを願いながら、他者を犠牲にすることはできない。
運命の女神を打倒し、自らが『ヴィジョン』の支配者になることも拒否する。
その結果、自分の願いを叶えることはできなかった。
一方、自分の欲求を満たすために家族を犠牲にした父は作品世界から消されてしまった。
つまり本作は、諦めて運命を受け入れ、家族と言う極々狭い範囲の共同体での充足に留まることを称揚している。
社会運動や革命なき時代を象徴しているような気がする。

ストーリー以外の面に着目すると、デジタルアニメーションを得意とする GONZO らしく、CG で描かれた巨像や魔法は滑らかで綺麗。
ただ、メインはセルアニメーションなので、画面全体が動くシーンならばあまり気にならないが、カメラ固定の中を CG のキャラクターが動くとやはり違和感がある。
制作にあたっては GONZO・ワーナー・フジテレビが組んでいて、スタジオジブリ・日本テレビのラインに対抗する意図は見え見えだが、スタジオジブリ作品を真似て主だったキャラクターの声を専門の声優に任せないのはいただけない。
ワタルを演じる松たか子は演技は悪くないけど声があまり少年っぽくないし、ウエンツ瑛士は明らかに下手。
唯一、大泉洋はキャラクターにマッチしていた気がする。
声優はみんな普段安いギャラで頑張ってるんだから、たまには予算の多い映画で雇ってやれよと思った。

原作は結構売れていて人気があるようだが、原作ファンにはつらい映画だろうなとお察しする。

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『インサイド・マン』。
直訳すると「内側男」。
いや、直訳しなくていい。

ある日マンハッタン信託銀行で、客を人質に取り武装グループが立てこもり事件を起こす。
武装グループは警察に対し、人質を乗せるバスと飛行機を要求する。
彼らは警察が突入しても区別されないように、人質の衣服を脱がせ自分たちと同じ服装、同じ覆面を被せる。
事件を解決すべく様々な手を打つ警察だが、武装グループは常に警察より上手を取り、警察を翻弄する。
一方、マンハッタン信託銀行の会長は、占拠された店舗の貸金庫に誰にも触れられたくないものを保管していた。
その秘密を守るため、彼は女弁護士を雇い武装グループと接触を図ろうとする。
果たして会長の秘密とは何か。
武装グループの真の目的は何か。
彼らはどうやって包囲された状況から脱出してみせようというのか。
……というお話の映画である。

映画の冒頭、いきなり主犯が素顔を出して観客に語りかける。
さらに本編中、展開する事件のシーンに、解放された人質を警察が取り調べるシーンが挿入されていく。
どうやら警察は事件が終わっても、誰が人質で誰が犯人の一味か区別できていないようだ。
練り上げられた筋書きを犯人が遂行していくさまに、観客は引き込まれていかざるを得ない。
完璧な犯行計画とともに脚本の構成の上手さにも感心させられる。

一つどうしても判らないのは、犯人グループは○○の××をどうやって知ったのか、ということ。
これだけがスッキリしない。
それでも、『フライトプラン』よりは満足度が段違い。
楽しませてもらいました。

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19 juillet 2006

光男記念日

「ため息がしみると君が言ったから7・18は光男記念日」

この30年近い人生において、片山光男を熱く語る人を初めて見たので記念に書き留めておく。

ISBN:4560027781

こんな立派な本を書く方の口から「五山のオグリビー」「葛井寺で近鉄選手の絵馬を探索」「池上、品田、木下」という言葉が出る。
人生って素晴らしい。

*片山光男:フリーのアナウンサー。近鉄バファローズファンにはラジオ大阪の「近鉄バファローズナイター」で馴染み深い。
京阪神の人が手っ取り早く声を聞きたければ阪急電車の駅に行くと構内放送で聞ける。

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京の都で納涼といえば川床。
以前から興味があったのだけど未体験。
今年初めて川床料理を味わう機会に恵まれた。

川床というと鴨川のイメージがあったので、貴船もそういうところなのだろう、と勝手に思い込んでいたのだけど、いざ調べてみると山の中。
源義経ゆかりの鞍馬寺の一駅前じゃありませんか。

京阪電車に揺られて出町柳。
出町柳から叡山電車に揺られて山の中に分け入り貴船口に到着。

貴船口に着くなり、清流の生み出す空気とせせらぎの音に涼感いっぱい。
肌寒いくらいだ。

ここからさらに料亭の送迎バスに揺られて川沿いの道を行く。
貴船神社の入口を少し越えた当たりに今回ご厄介になった「右源太・左源太」はある。


渓流の川幅いっぱいに鉄骨を組んで床を作り、その真上で料理をいただくという寸法である。

その料理のうまいこと。
そして熱燗をいただく。
至福、であります。
まったく、ニートにならずに働いた甲斐があるというもの。
1食1万2千円という贅沢だけども、来てよかったな、としみじみ思う。

帰りは四条で降りて「見つめて☆新選組」を脳内BGMに河原町まで歩く。
暑い。
街角の温度計は33度を指していた。
同じ京都なのにここまで違うのか。

和泉式部ゆかりの貴船神社に参拝できなかったので、また貴船には避暑に行きたいところであります。
今夏に再び川床料理は財布に厳しいけれど。

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球団合併によりスカイマークスタジアム(グリーンスタジアム神戸)での主催ゲームが減ったのが、オリックスが大阪ドームを買収したせいで来期からは一層減ることが予想されるこの頃。
少なくとも今期のスカイマークスタジアムで土日に行われるマリーンズ戦はもうないし、来期にあるかどうかもわからない。
ということで、7月8日、降雨が予想されるにもかかわらず北神戸まで出かけてきた。
実は今期初めての野球観戦である。

開門直後に現地に着いたところ、外野左翼の入場口から体育館まで長蛇の列が形成されており「ありえない!」と驚くとともに「座れるのか?」と臆したが、十分よい席を確保できた。

ゲーム開始まで時間はたっぷりあり、マリーンズの打撃練習をしばし眺めるが、スタンドインは1本だけ。
打棒が湿っている。


そんな様子を眺めつつ、今日で最後になるかもしれない当地の名物、モンスタードッグを食す。

怪しい空模様の中ゲーム開始。
マリーンズは立ち上がりのバファウェーブ先発ピッチャー、デイビーを攻める。
ヒット2本で得点機を作り、今日5番に座るワトソンがシングルヒットを放って1点を先制。
しかし後続が続かず得点は1点どまり。

マリーンズの先発ピッチャーは渡辺俊介。
今年は調子が良くない。
今日も先制直後の1回裏、ランナーを一人置いて、バファウェーブの4番に座った北川にレフトポール際へ2ランホームランを叩き込まれる。
あっという間に2対1。

マリーンズ打線はデイビーの荒れ球に翻弄され凡打を重ねる。
そのうちデイビーも調子を取り戻しコントロールが良くなってきて、余計打ちづらくなる。
さすが山地に近いせいか、断続的に雨が降ったり止んだりして観ている方もつらい。
雨の中、渡辺俊介も力投。
しり上がりにピッチングはよくなり、うまくバッターのタイミングを外してフライを打たせテンポよく無得点に抑えていく。

デイビーやその後を継いだバファウェーブのリリーフピッチャーからヒットを放つマリーンズだが後が続かない。
ランナーが出てもダブルプレイで得点機を潰してしまう。
バレンタイン監督は一般的なメジャーリーグの戦術に倣いあまりバントを使わないが、今日は強攻策が全て裏目だった。
ゼロ行進が続き、渡辺俊介を援護できない。

今日は花火ナイター。
降雨があったものの無事打ち上げが行われた。
じれったいゲーム展開にちょっとした安息だ。

1点差を追うマリーンズは9回表、先頭打者の里崎がフォアボールを選び同点に追いつく足がかりを作る。
ピッチャーがサウスポーの菊地原、バッターが左打ちのフランコというところで代打大塚。
バファウェーブはクローザーの大久保を登板させた。
初球に大塚はバントを試みるが失敗。
大塚は三振が多いからバントを貫徹させろよ、と念じるが、バレンタイン監督はヒッティングに切り替える。
予想通り大塚は三振。
しかし続く今江がレフト線へしぶとくヒットを放ち、1アウト1・3塁と絶好の得点機を作り出す。
だが、大松がインコースのフォークボールに面白いように空振りを重ねて三振。
続く西岡も凡退して、あえなくマリーンズは敗北したのであった。

今年は優勝は無理かな……。

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さそうあきら『神童』(全3巻、双葉文庫)

ISBN:4575724912
ISBN:4575724920
ISBN:4575724939

『のだめカンタービレ』の前に読んでおこうと思ってたのに後回しになってしまった。
言わずと知れた……って知らない人の方が多いかもしれないけど、1999年文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞作。

名門音楽大学を目指しピアノの練習に励む主人公の青年、和音はある日、少年野球のピッチャーを務める小学生の少女に出会う。
快活で野球好きな彼女、成瀬うたは実は、類まれなピアノの才能を持つ天才少女だった。
うたの助力を得て主人公は見事志望大学へ進学。
うたもまた、音楽界の表舞台へと躍り出てその才能を世間に知らしめていく。
そのままうたは順調に国際的スターに成長すると思いきや、終盤は衝撃的な展開に。
そして物語は大団円を迎える。

『のだめ』の音楽描写に心が高揚してしまう人なら是非オススメ。


福島聡『6番目の世界』( BEAM COMIX )

ISBN:4757713843

90年代初頭、著者のマンガ家駆け出し時代の作品と近作を収めた短編集。
その一作『 UFO 』は山口県で少年に妻子を殺されて、夫が少年を死刑にしろと言ってるアレを思い起こさせます。

福島聡『 DAY DREAM BELIEVER again 』(全2巻、BEAM COMIX)

ISBN:4757717199
ISBN:4757717202

「モーニング」に連載されて打ち切りになった作品を完結させたもの。

博物館に勤める25歳の女性、日下部霞。
彼女は夜には体を売る仕事をしていたことがバレてしまい、博物館を辞めさせられてしまう。
そんな彼女にはクビに月型の「刻印」があった。
ある日、彼女のもとに同様の「刻印」を持った男二人が現れる。
彼らは超能力者で、その力を生かして旅をしながら犯罪を重ねて生きてきた。
霞は彼らの計略にひっかかり、自身の能力に気づかされ、家を捨てて彼らとともに旅に出る。
霞の能力とは、人が封印していた記憶を実体化させるというものだった。
一方、彼らが起こす不可解な事件に興味を持ったある雑誌記者が調査を始める。
そして霞と記者が出会ったとき、二人が封印していた記憶が蘇る。

結局二人はどうなったのか。
流される血は実体化された記憶、タイトルが示すように白昼夢なのか。
境界が曖昧なまま、物語は閉じられる。


ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』(第5巻、アフタヌーン KC )

ISBN:4063143937

夏の大会初戦が始まった。
しかし1巻で3回の表までしか行ってない。
しかも月刊連載。
ライフワークにするつもりなのか。

あびゅうきょ『晴れた日に絶望が見える』(バーズコミックススペシャル)

ISBN:4344802012

黒いベールで全身を覆った独身無職38歳のオタク男、「影男」。
絶望の中、町を彷徨う彼は不思議な女性たちに出会い、罵倒されていく。
作者が彼に示した救済は、身体を捨て魂を「靖国」に一体化することだった。
自虐とペシミズム、軍事オタクの精神に偏執的な描き込みがもたらす空間の迫力が魅力的な短編「影男」シリーズが半分。
残り半分は、女主人公が活躍する戦記もの短編。

妻を娶れず戦士として戦うこともできない男の人生に価値はなく絶望のみがある。
そして女は強く美しく、絶望独身男性は脆弱で醜い……という思想の徹底ぶりには清清しさすら覚える。
これは掘り出し物だわ。
作者の Web サイトに掲載されている文章も面白い。

あびゅうきょ『あなたの遺産』(バーズコミックススペシャル)

ISBN:4344803671

あびゅうきょという人は1980年代から細々とマンガを描いていたらしい。
まだ日本が絶望感に侵食されておらず、主人公の少女の無垢性に若い作者が希望を託していた時代の戦記もの短編集が本書。
第二次世界大戦時、アメリカ軍のB29により行われた日本空襲は、日本の神官の要請のもとで行われた破壊と再生の儀式だった――という凄い解釈が登場する。
絵柄が80年代してて懐かしいが、やはり偏執的な描き込みが特徴的。


あびゅうきょ『絶望期の終わり』(バーズコミックススペシャル)

ISBN:4344806492

再び「影男」シリーズである。
『晴れた日に絶望が見える』で靖国神社にたどり着き「死の拠り所」を見つけた影男だったが、国に殉じる手段もなければ教育も受けていない現代の絶望男性には「俗世」にも「死の拠り所」にも居場所はないと作者は言う。
そして影男は俗世と靖国神社の間を彷徨い続けるのだ。

作中、愛知万博の廃墟で「人類の死と絶望」をテーマに行われる万博「死・絶望博」の皮肉と悲観には大笑いするとともに切なくなった。


石川雅之『もやしもん』(第1巻―第2巻、イブニング KC )

ISBN:4063521060
ISBN:4063521265

世界初か、細菌をテーマにしたマンガ。

種麹屋の息子、直保は蔵元の息子、蛍とともに上京し、農業大学に入学する。
直保には細菌が肉眼で見えるという特殊能力があった。
祖父の紹介で細菌の研究を行っている樹教授と知り合った直保は、その能力を見込まれ研究室に出入りをさせられるようになる。
樹教授だけでなく先輩たちも癖のある連中ばかり。
そんな中で展開する直保の学生生活が描かれていく。

可視化された細菌たちのデザインと会話がコミカルで可愛い。
そしていかに細菌が我々の生活に満ちているか勉強になる。
細菌により人間にもたらされた恩恵の一つに酒があるが、作中に登場する酒が何よりうまそうだ。
酒好きには是非おすすめ。
ちなみにこの作品で紹介された地酒「龍神丸」、そして同じ蔵元でこの作品をきっかけに限定発売された純米吟醸生酒「かもすぞ」は注文が殺到して入手不可能。

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溜めすぎ。

倉知淳『猫丸先輩の空論』(講談社ノベルス)

ISBN:4061824465

毎度おなじみ、日常ミステリを猫丸先輩が鮮やかに解いてみせる。
その一編「子猫を救え」はちょっと萌え要素あり。

由紀草一『団塊の世代とは何だったのか』(洋泉社新書 y )

ISBN:4896917634

「団塊の世代」のライフステージの背景となった時代風俗を追い、彼らがその時代にどのように振舞ったのか、その足跡を辿っていく。
サラリーマンとしての「団塊の世代」について、『島耕作』と清水義範の『柏木誠治の生活』を引き合いに出し対比させて論じているのが面白かった。

鹿島茂『オール・アバウト・セックス』(文春文庫)

ISBN:4167590042

「性」に関する書物の書評コラムを単行本化したもの。
鹿島先生、商売が手広いですな。
書評を読むだけで「性」の奥深さにおなかいっぱい。

沖田雅『先輩とぼく4』(電撃文庫)

ISBN:4840229422

乗りかかった船ってことで、買い続けているシリーズの続刊。
この巻は夏のイベントの回。
花火大会、海水浴、無人島。

沖田雅『先輩とぼく5』(電撃文庫)

ISBN:4840230684

この巻は学園祭の回。
学園祭で「ぼく」は男装し「先輩」は女装する。
男性の自分が女性の先輩を愛し、女性の先輩が男性の自分を愛する、という可能性は肉体が入れ替わってしまったがために失われてしまった(シリーズ1巻)。
その失われた可能性をかりそめに復活させるとともに、決別を図ろうという試みである。

佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』(文春文庫)

ISBN:4167560054

当時の現場指揮官だった著者の視点から事件の裏側を描いていく。
映画にもなった実録モノ。
作者含め事件解決に尽力した人々の功績を訴えたい気持ちは伝わってくるし、頭も下がるのだけど、年寄りに若い頃の手柄話、自慢話を聞かされているような感じが否めない。

東野圭吾『放課後』(講談社文庫)

ISBN:406184251X

東野圭吾のデビュー作となる密室ミステリー小説。
物語の語り手は、とある女子高に勤める男性教師。
東野圭吾というと淡々とした文体というイメージがあるけど、本作の主人公が感情が乏しい人間という性格設定だからか、やはり淡々とした文体。
不審な出来事に次々と襲われ、主人公は自分が何者かに命を狙われていると思うようになる。
そんななか、教員用更衣室で同僚の男性教師が殺される。
しかしその部屋は密室だった。
さらに体育祭の真っ最中に別の同僚の男性教師が殺されてしまう。

作中のとある箇所の描写を誤読してて、実はその誤読が密室トリックそのものだったのだけどそのままスルーしてしまっていた私。
自分の頭の悪さを再確認。
この殺人事件の「動機」については評価が分かれそう。
21世紀の学園では精神文化が変わってしまってて、この「動機」を抱いたとしても同様の殺人計画を立案実行することは困難じゃなかろうか。

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TVで現在放送中の『ひぐらしのなく頃に』のアニメ版
今のアニメ業界は粗製濫造だから、1クール13話、出題編だけで終わりだろうな、と思ったら2クールとは。
しかしアニメ版を見ているとダイジェストのようで物足りない。
で、ここで気づいたのだけど、原作ゲームにおける「 TIPS 」というのが意外と作品に重要な力を果たしているんじゃなかろうかと。

「 TIPS 」とは何か、を説明するのは難しい。
『ひぐらしのなく頃に』は一本道の小説だが、場面転換の際に TVCM が入るようにインターミッションが頻繁に入る。
そのたびに「 TIPS 」が追加され、読めるようになる。
それは本編に関係した短文で、文庫本の1ページから2ページ程度。
本編と同時に進行している別場面だったり、何者かの手による手記だったり、公文書だったりする。
読まずに先に進んでもいい。
で、この「 TIPS 」が作品世界を補う役割を果たしていて、時に物語の謎を推理する手がかりとなっている。

私はせっかちだから、「 TIPS 」が追加されるごとに逐一読んでいた。
だけど、放送であるTV アニメではこれは再現できない。
マウスをクリックすることすらなく、ただ画面を眺めるだけ。
作品を受容するリズム感の違いとともに、作品世界へ引き込まれる強度が違う。

「TIPS」を読んでいくことは、大塚英志がビックリマンシールの流行に見た、「大きな物語」へのアクセスという行為にも似ている。
「 TIPS 」のある原作とないアニメ版とでは、作品に対して受け手に許されたアプローチの仕方に差異があるのだ。
そもそも『ひぐらしのなく頃に』という作品自体、同じ物語設定の各編で異なる惨劇を発生させ、惨劇の原因である隠された共通の真相=「大きな物語」へ受け手の関心を促す構造になっている。
関心にサービスしてくれる原作と、してくれないアニメ版。
リズムの差異に加えてアクセシビリティの差異がアニメ版の物足りなさに繋がっているのではないか。

この原作とアニメ版の差異は、アニメ版を DVD 化すれば克服可能ではある。
DVD の機能を使って間に TIPSに相当する映像を見るかどうか、視聴者に選択を迫ることができる。
そこまで原作に忠実にあるなら、アニメーションドラマ作品としては画期的な存在になると思う。
ただ、映像作品においてその手法が正解かどうかは判らない。

いやまあ、アニメ版が物足りないのは単純に心理描写やエピソードを削りすぎてるからだろ、と言われればそうとも言えるんですけどね。

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毎年恒例の修学旅行。
今回は神奈川県の箱根です。

午前9時前、新大阪発の東海道新幹線「のぞみ」で小田原へ。
小田原には「のぞみ」が停車しないので、名古屋で「ひかり」に乗り換え。
午前11時9分、小田原着。


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プロフィール

空疎な中身のまま、サイト運営10年経過。

文学部出身ですが文学は苦手です。

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