6 juin 2006

『グッドナイト&グッドラック』を観た

スケジュールの都合で、久しぶりに映画三本ハシゴを敢行。
まず、『グッドナイト&グッドラック』から。

アメリカにおける1953年といえば、マッカーシー上院議員に端を発する「赤狩り」の嵐が吹き荒れていた頃。
テレビ局 CBS の専属ジャーナリスト、エドワード・R・マローは自身がホストを務めるドキュメンタリー番組で、軍や CBS 上層部からの圧力を跳ね除けて公然とマッカーシーを批判、「赤狩り」の終焉に貢献した。
このエピソードを映画化したのが『グッドナイト&グッドラック』だ。

特徴的なのは、違和感なく当時の状況を再現するにあたって実際の記録映像を織り交ぜ、全編モノクロ画面で作られていること。
そして屋外のシーンが存在せず、全編室内シーンで展開されていること。

ドラマチックな派手さの乏しい本作においての山場はマッカーシー批判を展開する番組本番のシーンである。
マローという人物を強調し、言葉に説得力を与えるためにクローズ・アップが多用される。
テレビカメラに向かって語りかけるマロー。
彼の視線は、番組の締めくくりにあたって映画のカメラと合致する。
作中のマローは当時の視聴者に語りかけているが、同時に我々観客にも語りかけているのだ。
マローの批判的言辞を通じて、50年以上経った現在のテレビ放送のあり方やジャーナリズムに再考を促そうというわけである。
ベタな手法とはいえ、ついつい引き込まれてしまう。
マロー役の男優(誰か知らんけど)もクールで渋い演技を見せ、鋭敏なジャーナリストのカリスマ性、ヒーロー性をうまく表現している。
お見事。

ちなみにタイトルの「グッドナイト&グッドラック」というのは、番組の締めくくりにマローが言う決まり文句。
淀川長治の「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」みたいなもんである。

ところで本作でどうしても気になってしまったのが、登場人物が場所を問わずやたらとタバコを吸っていること。
マロー自身、本番中カメラに映っているというのにタバコを指に挟んでいるくらいだ。
成人男子の殆どが喫煙者だった時代とはいえ、とかく映画における喫煙シーンが問題視されたり、オフィスや公共の場における喫煙が禁じられている当世からすると目だって仕方がなかった。

マッカーシーが没落し対決に勝ったマローだったが、経費のかかるドキュメンタリー番組よりも、経費が安く済んで人気を取れるクイズ番組を放送するという会社の方針で、マローの番組は別の時間帯に移動させられてしまう。
報道番組が娯楽番組に敗北するのは50年以上経っても変わらないが、喫煙という習慣を取り巻く状況は大いに変わったもんだ。
バカバカしいような、切ないような……。

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