avril 2006アーカイブ

現在ロードショウ放映中の映画『プロデューサーズ』を観てきた。
この作品は1968年にアカデミー賞脚本賞を受賞した映画だったのがミュージカル化されて2001年にトニー賞を受賞、そしてまた映画としてリメイクされたということらしい。

ブロードウェイの落ち目の舞台プロデューサーのもとに会計士がやってくる。
帳簿を見た会計士の漏らした一言にプロデューサーは「多額の製作資金を集めて一晩でコケる失敗作を作り、製作資金を持ち逃げする」という計画を思いつく。
ブロードウェイのプロデューサーになるという夢を持っていた会計士もその計画に乗り、二人は最低の脚本、最低の演出家を揃えて失敗確実のミュージカルづくりを始める……というコメディだ。

ギャグは腹から笑うと言うよりは苦笑を誘われるといった系統。
国民性や同性愛者をネタにしているのだけど、ドイツ人やスウェーデン人やゲイ団体から怒られないのかなと心配になった。
英語の訛りもギャグの一部らしく、字幕の翻訳も頑張っていたと思うけど英語が得意ではない私にはちょっとしかそれがギャグだということが判らなかった。
アメリカ人にはきっと爆笑ものなんでしょうな。
しかしエンドロールの最後に仕込まれたギャグには不覚にも噴き出してしまった。
エンドロール終了後にもおまけがあるので、エンドロールが始まっても席を立たないよう注意したい。

展開はテンポよく、後から上映時間134分と知ってそんなに長かったのかと驚いたくらい。
ミュージカル映画なので歌って踊ってハッピーエンド、なのだけど、これがミュージカルのパワーという奴なのか、不思議な高揚感があって、観終わった後は胸の奥がすっきり爽やかになった。
ミュージカル業界におけるミュージカルづくりを題材にした作品だけに、「突然作中の人物が歌いだす」というミュージカル特有の不自然さもあまり気にならずに楽しめるのではないかと思う。

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文明のあるところ酒あり。
世界中で生み出される酒の中で、今のところ私の一番のお気に入りはスコットランドにあるアイラ島のシングルモルト・ウイスキーである。
スモーキーなピート香に潮風を思わせる塩味、喉から胸に染みるボディ。
値は張るが、それに見合った心地よい酔いをもたらしてくれる。

そのモルトウイスキーの製造が遥か東の島、日本で始められたのは1923年のことであった。
場所は大阪と京都の県境にある山崎。
山崎蒸留所では今もなおウイスキーの製造が行われ、観光コースとして工場見学が一般に開放されていることで有名だ。
我が家からだと同じ大阪府内で交通の便も悪くない。
少なくともスコットランドに行くよりは気軽。
しかし見学受付は2名から、というのが障害になっていた。
ただでさえ知人友人が少ないのに、ウイスキーが好きだとか工場見学に興味があるとかで見学に誘えるような人間となると尚更居なかったからだ。
いつか行きたいと思い続けて幾星霜。
長生きはするもので、ついに山崎蒸留所に足を踏み入れる時が来た。

電話で見学の予約を入れ、蒸留所内に建てられた観光施設「山崎ウイスキー館」の2階に集合して見学はスタート。
若い女性の案内係に連れられて工場内に入り、ウイスキーの製造工程を見て回る。
ウイスキー好きなら承知のことだが、目で見て鼻で感じて確認、だ。

最初は仕込みから。
巨大なタンクに水と麦芽を投入して麦汁を作る。
タンクのある部屋に入ると、酒粕の香りを濃厚にしたような甘くて重い香りが充満していた。
ガラスで仕切られた隣の発酵桶から漂ってきた香りかもしれない。
麦汁は酵母の力で発酵し、マッシュ(もろみ)と呼ばれる低アルコールの液体となる。
これがポットスティルという装置で蒸留され、高アルコールの液体になる。
焼酎だと蒸留は1回だが、ウイスキーは蒸留を2回行う。
部屋は熱気でムンムンとしている。

写真の真ん中にあるのは、職人が蒸留された液体を掬って味見をするための窓。
蒸留されて出来た無色透明のこの液体を「ニューポット」という。

ニューポットは樽に詰められ、少なくて6年、長ければ数十年熟成され、琥珀色に色づくと共に穏やかな風味となる。
倉庫の中は薄暗く寒い。
でも埃っぽくはなくて、落ち着いた木の香りが漂い清涼。

光量が足らないので樽に押し付けて撮影してみたが、やはりブレてしまった。

これでウイスキーの原酒の出来上がり。
工場内の見学が出来るのはここまでだ。
商品化するには樽から取り出した原酒を水で割ったり、酵母や熟成法を変えて作った他の様々な原酒とブレンドしたりして瓶詰めするのだが、その過程は見ることができない。
見学客は試飲スペースへと案内され、「山崎12年」と「響17年」がセミロックで振舞われる。

量はシングル。
無料なのは嬉しいが、後のツアー客がつかえているせいか15分程度で早々と追い出されてしまった。
味はというと、「山崎」は穏やかで大人しい風味。
「響」はブレンデッド・ウイスキーだけあって尚更穏やかな風味に仕立て上げられていて、アイラモルトに慣れた舌には少々物足りない。
まずくはないんだけど。

見学・試飲を終えた後は「山崎ウイスキー館」2階にある土産店で「山崎樽出原酒15年貯蔵」と蒸溜所限定販売のシングルモルトを購入した。
昔「マッカラン」を買ったときにおまけで付いてきたショットグラスしか持っていないので、ショットグラスのセットもついでに購入。
さて、どんな味が楽しめることやら。

「山崎ウイスキー館」の1階では山崎蒸留所で作られた様々な原酒がビンに詰められディスプレイされている。

そして工場で作られたウイスキー製品のみならず、製品のもとになる原酒やサントリーが輸入している各国のウイスキー製品の試飲が有料で出来る。
しかし折角ここに来たのだからここでしか飲めないものを飲みたい。

というわけで、「ニューポットのミディアム風味」と「1970年に仕込んだ原酒」を試飲してみた。
「ニューポット」は100円、「1970年原酒」は2000円だ。

まずはニューポットから。
グラスに鼻を近づけると、仕込みの部屋で漂っていたあの香りに打ちのめされる。
舌に甘みはないがアルコール度数はウイスキーという超濃厚な甘酒と言った感じ。
あるいは出来損ないの泡盛だ。
このまま商品化は絶対無理。
罰ゲームの飲み物にしかならない。
これが樽の中で熟成されるとウイスキーになるのかと思うと感慨深い。

次に「1970年原酒」。
こりゃうまい!
お姉さん、もっとグラスになみなみと注いでくれと思う。
いやはや、熟成とは神の御業ですな。
ほのかに塩味もありアイラモルトに通じるものを感じる。
ビンに詰めて持って帰りたいほどだけど、仮に持って帰れるとしても月給が全部吹っ飛ぶ値段だろうなあ。

この日は「山崎12年」「山崎18年」に合うオードブルをウエスティンホテルの総料理長が提供するというイベントが企画されていた。
150食限定、ウイスキーとのセットで1人1,000円という。
折角なので受付の列に並ぶ。

供されたのは、食べるのが惜しくなるほど細かく作られたオードブル。
なかなかいける。
おかわりが欲しい。
家で飲むときこのオードブル食べたいわ、とはお連れ様の弁。

試飲しては休み、試飲しては休みの繰り返しでトイレが近くなるのには弱ったが、「もうちょっと飲みたいかな」という丁度いいくらいの酔い加減をキープ。
楽しい一日でした。

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2004年の日本映画のヒット作『いま、会いにゆきます』。
散々映画館で予告編を観せられて「はぁ、また泣かせる感動作ですか」と冷ややかにスルーしてたのだが、今日 TV で放送するというので観てみた。

若くして妻に先立たれ、小学生の息子と二人暮しの主人公、巧。
妻の澪は「雨の日に帰ってくる」と遺言を残していた。
死から一年後の雨の日、約束どおり彼女は二人の前に姿を現す。
しかし彼女は記憶を失っていた。
妻であり一児の母である、と言われ当惑する澪に巧は、高校時代からの二人の思い出を語って聞かせる。
記憶は戻らないものの再び澪は巧に魅かれ、3人家族の楽しい日々を送るようになる。
澪が一年前に死んでいることは伏せられていた。
しかし澪は生前の自分が書き記していた日記を読み、自分の過去を知ってしまう。
そして雨の季節が終わり、二度目の別れが訪れるのだった。

まあこの辺は予告編から想像のつくストーリー展開。
しかし別れの後、澪の日記を通じて澪の視点から二人の過去が語られ、観客の意表を突く仕掛けになっている。
「いま、会いにゆきます」ってそういう意味だったのね、と。
甘たるいけどピリッと捻りの効いたファンタジーだった。

だがそんな感動ストーリーは原作を読めば十分である。
この映画最大の見所は高校時代のメガネっ子澪。
可愛すぎですよ!
ありがとう、ありがとう監督!

そういうわけで、いま、会いにゆきます。
DVD で。

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15 avril 2006

島根県への旅

山陰地方といえば、2000年近く昔には大陸との交易や鉄器の生産によりそこそこの勢力を持っていた地。
日本建国の神話の里。
しかし今では交通不便で特に秀でた産業もなく、人々は細々と暮らしている。
そんなイメージが思い浮かぶ。

足を運ぶにはあまり積極的になれないところだが、島根県在住の友人に結婚披露宴へ招かれたので初めて訪れる機会を得た。
宴の開始時刻は午前12時半。
朝に大阪を発つにしてもギリギリだ。
有難いことにお宿を用意していただけるというので、前日のうちに島根県入りし観光を楽しむことにする。
あらかじめ日が決まっていることから、往路は早期予約割引により10,060円と、鉄道と遜色のない値段で利用できる飛行機を使うことにした。

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フィンランドと言えば森と湖の国、ムーミンが生まれた国。
ディズニーランドに憧れはないけれど、フィンランドにあるというムーミンランドには憧れる。
私の「いつか行きたい国ランキング」上位にある国だ。

そのフィンランドで全部撮影されたという触れ込みの日本映画が『かもめ食堂』である。

フィンランドの首都ヘルシンキの街角に日本人女性のサチエが「 ruokala lokki 」(かもめ食堂)という名の食堂を開く。
おにぎりがメインメニューというその食堂だったが、日本料理店を前面に押し出した店構えというわけではなく、通りすがりに遠巻きに店を覗く現地人はいるが客は一人もいない。
初めて来た客は日本かぶれの青年、トンミだった。
日本のことで彼から受けた質問に頭を悩ますサチエは、街の本屋でミドリという日本人旅行客の女性に出会う。
ミドリに答えを教えてもらったサチエは、その礼にミドリを自分の家に宿泊させる。
特にフィンランドに来る目的があって来たわけではないというミドリは、かもめ食堂の仕事を手伝うことになる。
ポツポツとお客が来るようになったかもめ食堂。
やがてマサコという名の日本人旅行客の女性が店に現れ、彼女も食堂の仕事を手伝うようになる。
そしてかもめ食堂は満席になるほどの繁盛を見せる。

サチエにコーヒーの淹れ方を教えた謎の男、道からサチエを睨みつけては去っていく謎の女性というエピソードはあるものの、特にドラマチックな盛り上がりはない。
かもめ食堂が繁盛していくのは偶然と幸運にしか見えない。
森と湖の国が舞台だが、殆どヘルシンキの街中しか映らない。
ただ日常の時間がゆったりと流れていく。
しかし小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという3人の女優の、強力でコミカルな存在感が作品を支えていて退屈させない。
ゆるい物語がおにぎりのご飯だとすれば、彼女らは味付けの濃い具と言ったところか。

ちなみに梅田ガーデンシネマで観たのだけれど、10時15分、10時25分の上映は満員で入れず。
12時20分の上映を観終わって出てきたら、急遽追加された21時台の上映を除いて全て完売となっていた。
上映中は「あんたら笑いすぎだ」と思うくらい随所で笑い声が上がる。
土曜日で毎月1日の映画サービスデー、大阪じゃ梅田ガーデンシネマでしか上映していないってことを差し引いても、何故こんなに人気で観客の反応が良いのか不思議だった。
私が知らないだけで前評判が高かったのか、女優たちの人気が高いのか。
謎である。

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