窪田 般弥、滝田 文彦編『フランス幻想小説傑作集』(白水 U ブックス)
ISBN:4560070717
フランス幻想文学のアンソロジー。
収録されているのは、サド、バルザック、ゴーチエ、ボレル、ネルヴァル、ヴィリエ=ド=リラダン、モーパッサン、ロラン、シュペルヴィエル、ロブ=グリエ、クランなどの短編小説。
作家の数の豊富さとともに翻訳者の数も豊富。
クランの「怪物」に至っては SF で、意表を突かれた。
J. K. ユイスマンス『彼方』(創元推理文庫)
ISBN:448852401X
『さかしま』で薀蓄たっぷりに人工楽園を描いたユイスマンス。
本書では、ジル・ド・レの一代記を執筆する作家を主人公に据えて、オカルト、悪魔崇拝の世界を展開している。
「産業と科学の世紀」への反発を主人公に語らせるあたり、さすがユイスマンス。
藤野千夜『ルート225』(新潮文庫)
ISBN:4101164312
志村貴子がカバーイラストを描いているのに気づいて「ジャケ買い」してしまった本。
中学二年生の少女、エリ子の視点で物語は語られる。
彼女は母親の言いつけで、帰りの遅い中学一年生の弟、ダイゴを迎えに家を出る。
落ち合った二人だが、二人をとりまく世界は微妙に変わってしまっていた。
町並みが変わっていて家に帰れない。
ようやく帰ると家には両親がいない。
死んだはずの同級生が生きている。
ジャイアンツの高橋由伸が少し太っている。
疎遠になったはずの同級生が親しく話しかけてくる……。
二人はどうやら平行世界に迷い込んでしまったらしい。
果たして二人は元の世界に戻れるのか。
オチを期待すると肩透かしを食らう。
第1章が「ルート196」、第8章が「ルート225」と銘打たれているところからして、少女が14歳から15歳へと移ろい行く部分を描いたお話なのか。
性別の問題からか、その辺の心の機微というのはよく判らなくて、私はエリ子よりもダイゴに共感してしまうが、姉が弟に抱く感情というのはこんなものかなと納得するところもある。
倉田英之、スタジオオルフェ『 R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN“THE PAPER”』(集英社スーパーダッシュ文庫)
ISBN:4086300028
『かみちゅ!』の脚本家、倉田英之のライトノベル。
出版と近い時期にアニメ化されたりマンガ化されたりしてるようだけど、メディアミックス作品なのかな。
本作の主人公は大英図書館の工作員で、紙を自在に変化させ武器とする特殊能力を持った女性、読子・リードマン。
コードネームは「ザ・ペーパー」。
美人なのにお洒落には無頓着で、野暮ったいメガネをかけている。
重度のビブリオマニアで、工作員とは思えない天然ボケな性格、という設定。
そんな彼女が世界史の臨時教師として、日本の高校に赴任してくる。
その高校には、高校生にして売れっ子ジュブナイル小説作家の菫川ねねねがいた。
ねねねの才能に目をつけた謎の人物によって何通もの異常な手紙を送りつけられ、ねねねは不安な毎日を過ごしている。
ある日、その人物の命を受け、怪人がねねねを襲う。
ねねねの大ファンである読子はその能力を使い、怪人と一大バトルを演じる、というアクションもの。
紙を武器にする、という発想は面白い。
本を愛するあまりの読子の奇行は、本好きな人なら共感できるのではないだろうか。
読子が「ザ・ペーパー」になるにあたっては辛い出来事があったようなのだが、それはほのめかしに留まり、本作は「つづく」の一語で終わってしまう。
一話完結じゃなくて最初から連続ものを意図してるんだったら、タイトルに「1」って入れてくれればいいのに。
文章はテンポを重視してか読みやすいのだけど、他の小説を読んでから読み返すと「描写がスカスカだなあ」という感が否めない。
でもまあキャラクターは魅力的なので、そのうち続きを読もうと思っている。
もう半年以上経っちゃったけど。
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