ロマン・ポランスキー監督の映画『オリバー・ツイスト』( Oliver Twist )。
原作は19世紀のイギリスの国民的小説家、チャールズ・ディケンズの同名小説。
ロマン・ポランスキーもチャールズ・ディケンズも知っているのは名前だけ、という状態で観た。
物語は非常にシンプル。
舞台は19世紀のイギリス。
救貧院に連れてこられた孤児の少年オリバー・ツイストだったが、食事のおかわりを求めたために救貧院を追放される。
で、いろいろと苦難の道を歩む。
しかし素直で清廉な心を失わず、金持ちに拾われてハッピーエンド。
それだけ。
非常にベタベタですな。
序盤で大人たちが「いつかこの子は絞首台に上ることになる」って台詞を繰り返すもんだから、救いのないまま死ぬ告発劇かと期待したのだけど。
見所と言えば、19世紀のロンドンの町並みを再現したオープンセット。
貧民たちが身を寄せ合うように住む汚い都市空間が映画的リアルさで描かれている。
(実際は路上にゴミが積もり空気は煤煙で汚かったはずだが、さすがにそれをそのまま描くと観るに耐えない。
日本の時代劇でお歯黒が描かれていないようなものだろう)
あとはオリバー・ツイストを演じている子役の少年と、子供にスリをさせて暮らす老人フェイギンを演じた男優の演技くらいかな。
オリバーは金持ちに拾われてよかったかもしれないけれど、他の孤児たちはきっといつまで経ってもまともに暮らすことなどできないだろう。
それが気になって「オリバーが幸福を掴んでよかったよかった」とは到底思えないのであった。
まあ、最後の場面になってもオリバーが冴えない表情をしているのはその辺をわきまえているからかもしれないが……。
ベタベタな話だからきっとミュージカル映画の方が良いんやろうな、と思いながら、ちょっとこれも見てみたい。
ミュージカル映画では、「ウン・パ・パ」を歌いながらオリバーを逃がすシーンとか、どうなってるのかとか気になるのは気になる。でもdormuer氏のこの感想で、ちょっと行く気が・・・。
とりあえず発狂しそうなくらいマーク・レスターが可愛いので、ミュージカル版「オリバー!」もなんかの折りに見て下さい。
この『オリバー・ツイスト』のオリバーはひたすら「無垢だが影のある大人しい良い子」で、「泣く」「耐える」「逃げる」くらいしか行動パターンがありません。
「機転と勇気で辛い現実を明るく生き抜く」みたいな快活さが全然ないので、ミュージカルとは相容れなさそうです。
陰気な世界がどう反転しているのか観てみたいですね。