12 juin 2005

DVD『八甲田山』を観た

八甲田山 特別愛蔵版

6月に入り大阪は蒸し暑く、エアコンのありがたみを感じるこの頃。
目にも涼感が欲しいなというところでこの一作。
映画『八甲田山』だ。

1902年(明治35年)1月、日露戦争の開戦の2年前。
ロシアとの交戦を想定し、陸軍青森歩兵第五聯隊第二大隊の210人は雪中行軍演習のため、北八甲田連峰(八甲田山)へと向かった。
しかし一行は暴風雪と大寒波に遭遇。
210人中199人が死亡する一大遭難事故となった。
八甲田山雪中行軍遭難事故である。
偶然同時期、弘前歩兵第三十一聯隊も、十和田湖を回って現在の十和田市から八甲田山、青森を通り弘前へ戻る雪中行軍演習を行っていた。
こちらは38人で出発し、1人も死者を出さずに演習を成功させていた。

この史実を元に書かれヒットしたのが新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』。
そしてこの小説を元に制作され、1977年公開された映画が『八甲田山』である。

青森の聯隊と弘前の聯隊が八甲田ですれ違う形で雪中行軍演習を行うよう、軍の上層部から事実上の命令を受けるところから物語は始まる。
(史実では雪中行軍演習は別々の計画で、お互いに相手のことは知らなかったらしい。)高倉健の率いる弘前隊は少数精鋭での編成で、現地住民の道案内を活用し八甲田を目指す。
一方、北大路欣也率いる青森隊は少数編成を計画していたところ、直前に大隊本部が指揮に口は出さないという約束で随行することになり、210人の中隊編成で八甲田を目指す。
両隊を対比させる形で映画は進行していく。

弘前隊は悪天候に苦しみながらも、青森隊との約束を胸に、順調に行軍を進める。
しかし青森隊は八甲田山麓に入るところで、現地住民の道案内の申し出を大隊長が勝手に断ってしまう。
指揮系統の乱れと度重なる判断ミスで青森隊は迷走。
次々と兵士が雪の中に倒れていく。
八甲田に辿り着いた弘前隊が目にしたのは、雪に埋もれた兵士たちと、隊長北大路欣也の亡骸だった。

高倉健、北大路欣也、丹波哲郎、三国連太郎、加山雄三、藤原琢也、緒方拳、前田吟……とキャストは当時の日本映画のスターや実力派揃い。
時間も170分に渡る大作で、多くを雪中行軍のシーンが占める。
撮影は現地で本物の雪の中行われており、役者も演技でなく心底疲労していたことだろう。
行軍中に隊員が見た幻や回想として、冬以外の八甲田の美しい景色が所々に挿入され、雪景色で画面が単調になることを防いでいる。

気になったのは、所々字幕で物語を説明しているところと、隊がどういうルートで進んでいるのか判らないところ。
小説には隊の進んだルートの地図が付属しているので、見比べながら読み進めることができるのだが……。
第二次世界大戦の戦況ニュース映画みたいに進軍ルート図を挿入してくれればなと思った。

ところで、行軍中に発狂して褌一枚になり死ぬ兵士は大竹まことだ、という話を昔聞いたことがある。
有名なシーンでアップにもなるのだが、画面が暗い上に陰影が深く、顔がよく判別できなかった。

ともあれ、日本映画界が大作を作り得たギリギリ末期の時代、その最後っ屁を堪能できる作品である。

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コメント(6)

「天はわれわれを見放した!」ってキャッチコピーね。
当時小生ら厨房1年生、あたりまへやん、て感じやった。

リアル厨房キター(嘘)
ところで、この映画を思い出すとなぜか「教えて……ください……」とさだまさしの声が聴こえてくるのですが何故なのでしょう。
作品が違うのに。
確かに八甲田を無事踏破した弘前隊の面々は日露戦争で軒並み戦死してるんですけど。
先生が工房1年生くらいのときの作品ですね、『二百三高地』。

せや、さだまさし、ついにウヨに!
と、みんな駭いたもんやった。
背後の思想はなんであれ、あの映画をうとたら、
説得力皆無やろと、それはアカンやろと。
ラス前でハコ点のヤツに満貫あがられた感じやった。

まあ、その後のさだは、「遥かなるクリスマス」
とか歌ふんやけどね。

で、「闘ふプチブル」さだまさしには、まだまだ頑張ってもらひたいてふのが個人的感想。

さだといえば映画『長江』がコケて莫大な借金を背負い、以後その返済のために歌い続けてきたそうです。
いやはや感動的。
もう返し終わったのかな。

わが稚拙なるサイトへのリンクを貼って頂き有難うございます。
確かに両隊の行程上の展開は判り難く、『二百三高地』にもある様な行程(動く矢印)を出してくれた方が見る方は判り易かったですよね。

TOSHIBO様、ご丁寧にありがとうございます。
「雪の中を兵隊が蠢いているだけで何が面白いのか判らん映画」という意見も身近で聞きましたので、改めて同意です。

雪中行軍遭難事件について web で手軽に閲覧できる資料はありがたく、万一の折にもどこかフリー web スペースで残していただければ幸いです。

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文学部出身ですが文学は苦手です。

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